欅坂46「二人セゾン」個人PVレビュー

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石森虹花 『カワッテアゲル』

監督:住田宅英

「あなたじゃ無理」「代わってあげる」

突如現れたもう一人の石森(黒服)を、本当の石森(白服)が追い掛ける。強くなりたい自分と弱気になってしまう自分。ラスト、「私はできる」ともう一人の自分を捕まえて、自信を取り戻すストーリー展開は、現実の欅坂でいまだ一度もフロントに立っていない彼女のリアルな実情を重ねて見ると、結構シビア。「チャンスの順番」を聴いて諦めずに頑張ってほしいなって感じで…。

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今泉佑唯『落ちてきた天使』

監督:タナカシンゴ

あざとい天使のキャラと恥じらいの残る演技が良い塩梅でぶりっ子キャラを掻き立ててる。本人はどちらかと言えばおバカで天然なのだろうけど、乃木坂でいう秋元真夏のようなキャラは欅坂にはまだいないので、ぶりっ子役はこれからも引き受けてほしい。洗濯物を畳む時の畳み方が雑、おまけに料理も下手、そんな愛くるしい天使役が最高にハマってる。

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■尾関梨香『もじもじ探偵尾関ちゃん』

監督:田村啓介

まず服がかわいい。モジモジヘラヘラしながら自己紹介するところがかわいい。文字に関する特殊なトレーニングを受けた(という設定)のもじもじ探偵だけあり、文字を組み合わせる謎解きは意外と凝ってるが、基本的に内容はないので、ただヘラヘラユラユラしている尾関のかわいさを見守る作品。お笑いキャラは織田、天然は今泉、不思議ちゃん・大食いは長沢とキャラ被りの渋滞に巻き込まれ中々クローズアップされず、「欅って、書けない?」での「運動音痴で動きが変」ということが見せ場になることが多いけど、こういうヘラヘラしたかわいさは尾関が一番似合ってる。

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小林由依『こばやし荘は住人十色』

監督:丸橋俊介/阿部至

101号室の住人、かわいい。102号室の住人、神。103号室の住人、かわいい。104号室の住人、やらされてる感がいい。105号室の住人、かわいい。106号室の住人、指がいい。107号室の住人、シンプルに良い。108号室の住人、かわいい。109号室の住人、神。大家、かわいい。端的に言えば小林由依の十変化なのだが、アパートを舞台にホラーとしてのオチがつくのもおもしろい。何よりメイキングが最強に可愛い。優勝。

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佐藤詩織『Ballet』

監督:山本花観

バレエスクールでの本人インタビュー。「なぜアイドルになろうと思ったのか?」という問いへの答えには佐藤詩織の人柄が出ているし、レオタードに身を包んだナチュラルメイクの彼女はかわいいけれど、最後に舞台で衣装を着てバレエを披露するところまでそのまま過ぎる気もする。別に個人PVでこれやらなくていいのでは。

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菅井友香『僕のクラスの学級委員』

監督:ねむことよるこ

菅井友香が学級委員という設定がいい。ゆっかーお姉ちゃんここにあり。内容に関しては正直よくわからない。

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鈴本美愉『鈴本ミユの秘密の告白』

監督:森田亮

鈴本美愉に早口を喋らせた監督は天才だ。映像の9割がお風呂場で展開されるが、全くダレずにあっという間にエンディングを迎える。テレビの前と楽屋でキャラが違うと言われる彼女だが、この作品は後者の彼女を引き出してるんじゃないか。クールでキツめの彼女とは違うおっちょこちょいで愛らしい、これは良いすずもん。

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原田葵『ねぇ ねぇ 聴いて』

監督:上田真紀子

「机を叩く音」、「チョークが黒板をなぞる音」、「バスケットボールが地面を打つ音」、「カスタネットを弾く音」、「クラッカーを開く音」、「紙を丸める音」など、原田葵の様々な音を生むアクションを連続して繋いだ今作。メトロームのような無機質に反復するテンポの上で、一挙手一投足の全てに実年齢以下の幼さの残る原田葵のあどけない魅力と、World’s end Girlfriendや蓮沼執太のバックでもドラムを叩くJimanicaの音楽が不思議な融合を果たしている。Type-B収録の個人PVの中では最もコンテンポラリーな作品で、映像のカットとリズムや音のテンポの良さが視覚と聴覚をくすぐる。しかし原田葵ちゃんは本当に高校生なのだろうか、小学三年生の間違いなんじゃないか。でもこの先絶対もっと可愛くなるし美人になりますよね。あと10年はアイドルをやってくれ、頼む。

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■織田奈々『カッパの好物』

監督:脇坂侑希

白ニットに手料理と、デフォルトなぐらい女の子っぽい織田奈々を見れる。「欅って、書けない?」のお笑いキャラのイメージが強くて、どうしても織田奈々を王道の「かわいい」という目で見れなくなってしまってるけど、当然のことながら美形だしかわいい。このまま欅坂のオカロになってしまうのか。あとカッパとの出会いの場面やキュッキング、エンドロールで使われている音楽が好き。

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■小池美波『転校生探偵・真壁川ナツ』

監督:磐木大

もじもじ探偵と被ってるやん!それはさておき関西弁で自分のことを「ウチ」と言う小池美波ちゃんがかわいい。あと突然関西弁でキレる小池美波ちゃんもかわいい。ドヤ顔の小池美波ちゃんもかわいい。これも特にストーリーに内容はない。尾関の『もじもじ探偵尾関ちゃん』は「モジモジ」を与えることで彼女の持つかわいいを引き出した感じがあったけど、こっちは素の小池の可愛さがそのまま出てる感じ。

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齋藤冬優花『NIGHT RACER FUYUKA』

監督:曽根隼人

オープニングのパルクールを駆使したアクションシーンやCGなど、他のメンバーの作品に比べると映像技術としてはかなり凝って作られている。ミニ四駆が好きだったのでレースシーンはテンション上がる。でもこれ齋藤冬優花さんの必要なくない?主人公そのまんまヨシキくんじゃない?

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土生瑞穂『僕の彼女は吸血鬼』

監督:高木俊貴

吸血鬼という設定と「エピグランマタ」や「ダークシャドウ」からの引用がアクセントになっているが、基本的には「僕の彼女が土生瑞穂だったら」を体感できるガチ恋製造作品。フィルターかかった映像も綺麗で、彼女の美形で整った顔立ちと相まってショートフィルムのよう。セリフや顔のアップのシーン、甘い声で「キス」という単語を連呼し言い寄る場面、土生supreme瑞穂です。

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平手友梨奈『てち浪漫』

監督:豊島圭介

明治時代の異人館平手友梨奈の底知れない魅力に取り憑かれた男の恋文を、侮蔑を込めたかのような声色で平手が朗読する。「子どもで大人」。真っ赤なワンピースは幼く、妖艶。最後の最後に15歳の少女の声と表情を覗かせるが、それすらも"素の平手友梨奈"ではない"15歳の少女"の演技なのだろう。個人PVはそのメンバーの魅力を引き出すものが多いが、この作品は平手友梨奈本人の魅力ではなく、スイッチの入った平手友梨奈の"演じる"凄みを捉えた作品。この作品だけ関わってるスタッフの人数が他のメンバーよりも明らかに多いし、力の入れようが否応なしに伝わってくる。

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守屋茜『KICK'N'CLEAN』

監督:加藤マニ

音楽がいい。服はちょっとダサい。えーっと、あんまり言うことがない。

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■米谷奈々未『文學ガール』

監督:藤枝憲/須藤中也

竹下夢二『秘密』、太宰治『女生徒』、夏目漱石夢十夜』の3つの文学作品を朗読する米谷。自然の中に立つ制服姿の米谷の映像が、その作品の表現の一つ一つをより際立たせている。「美しい目の人と 沢山会ってみたい」、湖の中に入って傘差してるシーンが個人的なハイライト。個人の魅力というよりは、映像と文学との調和の上に成立している作品。米谷は「和」のイメージが強いし、こういう文系路線は非常に好き。あとはもうちょっとだけ舌足らずな語り口がどうにかなれば。

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渡辺梨加『私の好きな人。』

監督:橋本侑次郎

眼鏡かけてる渡辺梨加を見れるだけでもう十分ではあるが、不思議キャラや天然キャラを使ってシュールやポップな方向に逃がすのではなく、正面から"恋する女の子"を渡辺梨加さんに演じさせてくれてありがとうございますって感じで。意外とこういう渡辺梨加は珍しいと思う。ノースリーブのチェックのワンピースに眼鏡、100点。手紙に口紅でハートマークを書くシーン、1000点。

と途中までは思ってけど、オチはやっぱり渡辺梨加だった。でもそこも含めてめちゃくちゃ好き。

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上村莉菜『煙に巻く』

監督:中島望

奔放でわがままな上村莉菜は最高にかわいい。もうとにかくかわいい。そしてタイトルも伏線になっていて、最後に少しドキッとさせられる。なんにせよ、女の子がかわいく撮れてる映像は偉い。

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志田愛佳『ドラムス・シンバル・サバイバル』

監督:川口潤

渡邊理沙とともにザ・クールと言われる志田だが、そのイメージとは異なり内面は熱く、芯の通った信念を持っており、その意志を鼓動という形でドラムのビートで表現した、という風に解釈を勝手にしましたがどうでしょうか。ラスト、振り向いて見せる笑顔を見れば、そんな解釈は瑣末な問題なんですが。

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■長沢菜々香『私の夢』

監督:土屋隆俊

特技のバイオリンを張り詰めた静寂の中、ドレスアップして演奏する長沢菜々香の普段のキャラとのギャップがすごく、非常に女性的な彼女にドキッとさせられる。特技披露と本人コメントという意味では佐藤詩織の『Ballet』と大きく変わらないはずなのに、こちらの方が「おぉ!」という新鮮さがあったのは、個々に対して持ってるイメージとギャップがあったからだろうか。掘れば掘るほど隠し持っている。なー研入りたい。

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■渡邊理沙『Love Letter』

監督:月田茂

ぶっきらぼうで不器用な女子高生が、初めて好きになった人にラブレターを書くも相手から先に告白されてしまう。渡辺梨加の『私の好きな人。』も意中の相手に手紙を書くという話だったが、最後に自分の好きな人が誰かを忘れてしまい「ま、いっか」とすませてしまう渡辺梨加と、好きな人に先に告白され「なんかつまんない」と自分の手紙を破り捨ててしまう渡邊理沙。同じシチュエーションではあるが、お互いのキャラが導く異なる結末が好対照に光る。あと告白された瞬間に「なんか急に世界の音が聴こえだした」と音楽が流れ出す演出、ベタかもしれないけどそこからのカットが正に色が付いたように映ってとてもいい。渡邊理沙の表情には心の内を読ませないミステリアスな魅力がある。

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■長濱ねる『じぶんルール』

監督:柴田啓佑

転校を目前に控え「自分の決めたルールが果たされたら彼に告白する」、と決心するも、中々うまくいかない女の子を演じる長濱ねる。現実の長濱も長崎から上京し、東京の高校に転校したため元々通っていた長崎の高校の卒業式には出られなかった。そして親にアイドルになる道を反対され、一度は夢を諦めた。この物語の主人公は、そんな現実の長濱ねると大きくシンクロしている。作中の彼女が最後「ルールは破るためにある」と、自分で決めたレールを離れた先に待っていた結末。演技も思ったより自然で違和感なく、長濱ねるの良さが120%で出ている最高のビデオだと思う。「余は満足じゃ〜」って周るとこ、最高にかわいい。

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