22│08│Ghost In The Rain
■某日
ある人のnoteの記事を読んだ。これはおれのことを書いた文章だと思った。(もし万が一これがただの勘違いで全くの赤の他人の人のことを書いた記事だった場合は自意識過剰にも程があるので今すぐ殺して欲しいしこのnoteもこれを読んだ全ての人間の記憶も今すぐ消えてほしい)。でもあれは多分、おれのことを書いた文章だと思う。
Twitterでもう10年近くフォローしてくれているみたいで、けどたった一度のリプライすらも送り合ったことがない人。だからそんな人がいて、しかも自分のことを書いてくれていることにビックリした。書かれている言葉はどれも自分にはもったいない言葉ばかりで、これが現実かどうか確かめるために3日連続で読みにいった。嬉しかった。多分あと100回は読むと思う。その人は記事の最後にごめんなさいと書いていたが、なんで謝るのか全然わからない。こっちの気分としては良いこと言うタイプのアーティストがライブのMCで話す「見つけてくれてありがとう」を藤原基央ばりの声で言いたいぐらいの気持ちだ。本当にありがとうございます。
昔Twitterでフォロー外の人にDMをもらったことがある。以前rockin'onが「音楽文」というサービスを運営していて、一般の読者から音楽にまつわる文章を募集してサイトに掲載しており(2022年3月31日にサービスは終了)、自分も当時ライブの感想や好きなアーティストのことを書いては「音楽文」にたまに送っていた。そんな中でELLEGARDENについて書いた文章が「音楽文」のサイトに掲載されたことがある。それはその文章を読んでくれた人が送ってくれたDMだった。少ない手がかりから自分のアカウントを見つけてくれて、その文章を読んだ感想を送ってきてくれたらしい。そのDMの内容はスクショして今も携帯に保存してある。嬉しかった。多分あと100回は読むと思う。それを見返す時、奇跡と呼ぶには大げさな、でも想像もしなかったようなことが自分の人生にも起こるんだなという気持ちになる。
2018年にELLEGARDENが活動再開した時に行われた復活ツアー、自分はスタジオコーストとマリンスタジアムに見に行けた。自分で申し込んだ分は当然のように全て落ちたが、声を掛けてくれた人がいたからだ。エルレが活動休止していた10年間、ただエルレが好きだったから、学校でも職場でもインターネットでも、エルレが好きだと言い続けていた。それを覚えてくれていた人が「チケット当たったけど行く?」と声をかけてくれた。それも一人や二人ではなかった。「エルレと言えばカヲルくんだから」と言ってくれた人もいた。嬉しかった。一生忘れないと思う。ただ好きなものを好きと言い続けただけにしては、もらいすぎてしまったと思う。ほとんど奇跡だった。
この世に神様はいないと思う。万が一いたとしても、自分のことを見ていて助けてくれることはない気がする。
でも自分のことを見てくれている人はいる。話している時に何げなく自分が言ったことをずっと覚えてくれている人がいる。RTもお気に入りも一つも付いていないツイートも、それを見てる人はいる。自分のために書いている文章も、読んでくれている人がどこかにいる。全員ではない。でも0ではない。
ふとした瞬間、答え合わせのように音楽を思い出す。誰も自分のことは見ていないだろうなと思いながら、それでも誰かに届いたらいいなと落とした言葉。それを見つけてくれる人が、どこかにきっといる。
君はそのまま進むんだ
やがて世界が
君を見つけ出す
光みたいな言葉だと思う。透き通っていて、嘘のように聞こえるほど。
それが嘘じゃないと知れた自分は、もう十分幸せなんだと思う。
■追伸
最初の自分のことをnoteに書いてくれた人のアカウントをまだフォロー返していない。それは先に記事を読んでしまったことで「この人は自分のことをnoteに書いてくれた人」と認識してしまったから。その状態でフォローを返すのは打算が透けてキモいし、かといって"逆に"フォローを返さないのもその"逆に"感がキモい。ただ前者と後者なら後者の方がまだマシだろうということでフォローを返していない。なのでその人はこれを読んでくれてるかもしれないけど、嫌とか嫌いとかそういうことでは決してないです。ただ自分が死ぬほど自意識過剰な人間で、この自意識の葛藤に一人であーだこーだこねくり回してるだけなので、こいつはマジでバカだなぐらい思っておいてくれたら嬉しいです。