君は1人じゃない - 2018.8.15 ELLEGARDEN - THE BOYS ARE BACK IN TOWN TOUR 2018 FINAL w/ ONE OK ROCK

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■君は1人じゃない

 2018年8月15日、前週の新木場公演が台風に見舞われたのとは打って変わった晴天の下、ELLEGARDEN活動再開ツアー「THE BOYS ARE BACK IN TOWN TOUR 2018」はファイナルの日を迎えた。

 

マリンスタジアムには早朝のグッズ販売時から本当に沢山の人が集まっていた。今でこそTwitterFacebookもあるが、エルレが活動していた当時は今のSNSのようなものはミクシィぐらいしかなく、そのミクシィもやっていなかった自分は日常生活でエルレを好きな人にほとんど会ったことがなかった。それがこの日は日本中からエルレを観るために集まったファンが続々と幕張に訪れてくる。「エルレを好きな人ってこんなにいたんだ」。もちろん中にはこの場所に来れなかった人もいるだろう。でも目の前に集まったファンを見て、CD の売り上げ枚数を聞いても持てなかった実感が湧いてきた。部屋で1人で歌詞カードを見ながら、MDウォークマンエルレを聴いてたあの頃の自分がこの景色を見たら、なんて言うんだろうか。

 

ここマリンスタジアムでも、チケットを求め海浜幕張駅から会場まで、かなりの数の人がボードを持って立っていた。音漏れのために遠方から駆けつけた人も多くいる。自分は新木場公演に続きマリンスタジアム幸運にもチケットを譲ってもらうことができたが、一箇所も行けない人がいると思うと、罪悪感は拭い去れない。でも後悔しない選択を考えたら、答えは一つだった。心にのしかかる重圧は今日という日の重みだ。その重みとともに4人の姿を目に焼きつける。17時を回った頃、場内に向かう。

 

場所はアリーナLブロック。広い。マリンスタジアムにはサマソニで来たことはあったけれどやはり広い。けれどステージの左右には巨大なモニターも設置されている。これなら、メンバーの表情もよく見えそうだ。この会場がELLEGARDENを待ち望んだ人たちで埋まる、その時を待つ。

 

18時を少し過ぎたところで、会場のBGMの音量が上がり、モニターには「ONE OK ROCK」の文字が。そしてSEへ。

 

ONE OK ROCK

 

Taka「みなさん熱中症になる準備はできてますか!?敬意をもって、このステージの上で自分たちを見せて帰りたいと思います。」

 

1曲目"Taking Off"。スクリーンに映るTakaは早くも瞳を潤ませている。 このツアーで、いやこのツアーが始まる前から、エルレへの愛と尊敬を何度も口にしていたTakaだからこそ、このツアーの喜びと同じだけ、それが終わってしまう寂しさも大きいのだろう。他の3人の気迫もピリピリと伝わってくるようだ。ライブハウスよりもアリーナやドームといった大箱が主戦場となったONE OK ROCKサウンドマリンスタジアムとがっちりと噛み合う。

 

そこから"The Beginning"、"Clock Strikes"とセットリストは新木場と同じ流れ。しかし新木場で見た時はあまり印象に残らなかった"Clock Strikes"でのTakaのハイトーンのロングシャウトの伸びは凄まじく、こういった大きな会場でこそその壮大なスケールは存分に発揮されるのだと思い知る。ファンの大合唱と合わさったその歌は、スタジアムを超え、会場の外にまで届かんばかりに響き渡る。

 

Taka「ELLEGARDENおかえりなさい。10年前彼らが活動を休止した時、僕らはバンでバンド活動をしていました。日本中を車で回って、彼らの音楽を聴きながら色んな想いにふけって、いつかあんなでっかいバンドになってやるって気持ちを常に持ちながら活動していました。バンド活動を始めて13年、色んなことが混ざりに混ざって、今日という日を迎えることができてます。」

 

"Take what you want"の前奏に乗せTakaが語る。改めて、エルレとの対バンが自分たちにとってどういう意味を持つのか。エルレとファンへのリスペクトを忘れずに、熱い気持ちをぶつける。この日も"Take what you want"でのTakaのロングシャウトには鳥肌が立ち、涙が出そうになった。歌声だけでここまで惹きつけられるボーカリストはそうそういない。

 

続く"I was King"でもTakaの振り絞るような歌声が、エモーショナルに心を揺さぶってくる。ブレない上に伸びのあるTakaのボーカルとどっしりと構えた3人の楽器隊の演奏が、客席のコーラスを巻き込み、渦巻くようにスタジアム広がっていく。

 

Taka「エルレが大好きで、本来ならおれらもみんなと同じチケット買ってそっちで見たいくらいなんです。でもこのツアーが決まった時、絶対にチケット取れないだろうなと思って、でもどうしても見たかったからオープニングアクトとして使ってもらおうと思って、隙間を狙ってね笑。僕がやっと細美くんと対等に話せるようになって、正直にエルレがまた見たい!と言い続けました。それから2年経って、色々な問題を乗り越えて今日を迎えられています。ONE OK ROCK知らない人もたくさんいると思いますけど、今日は僕に感謝してください。……冗談です笑。」

Taka「皆さんの気持ちを彼らにぶつければ彼らの未来も、皆さんの未来も変わるかもしれません。届くかはわかりませんが。ELLEGARDENと同じステージに立てたということは僕らにとって財産です。僕らはこの宝物を背負って、これからも自分たちの道を進んでいきます。でも今日が最後だから言うけど、あと1本だけ、ツアーやってもらいたい。だってまだ見たいんだもん。」

 

ここまでTakaの瞳はずっと潤んでいるように見えた。それはエルレとの対バンツアーがファイナルを迎えたことの感慨や感傷からくるものだと思っていた。でもこのMCを聞いて、それが悲しさや寂しさからくるもののように見えた。「最後」という言葉の意味が何を指すのかはわからない。けれどTakaのMCは、切実な訴えのようにも聞こえた。

 

Taka「ここからまだ盛り上がっていけますか?」

 

自身の気持ちを切り替えるようなTakaの一言から"Mighty Long Fall"へ。巨大なサークルが作られ、モッシュ、ヘドバン、シンガロンガが各所で次々と起こる。ToruTomoyaもステージいっぱいを使い客席を煽るように激しくプレイする。熱を帯びた空気が、一体感を生み出していく。

 

Taka「これだけ言わせてもらうけど色んな時代に色んなバンドがいると思うけど、ハイスタでもなく、BOØWYでもなく、僕たちにとってのヒーローはELLEGARDENなんです。他のバンドをディスってるとかじゃなくてね。辛い時や悩んだ時音楽に救われて、みんなもそうだと思うけど、おれたちも同じなんだよ。彼らの音楽に救われて、自分たちも音楽やって、音楽で名を轟かしてやろうって思えた。」

Taka「普段はステージの上では先輩後輩関係なく誰にも負けないって気持ちでライブやってるけど、ELLEGARDENみたいなレジェンド級のバンドが来たらどう表現したらいいかわからなくて。」

 

"We are"でTakaはステージ下手からアリーナへと降り、後方のスタンド席へ駆け出した。スタンド席に立ち、アリーナからスタンド最上段まで、全員の気持ちを煽る。新木場では小さかった合唱が少しずつ大きくなり、マリンスタジアムに集まった人たちを繋げていく。

 

Taka「次エルレが来るんだぞ、おまえらそんなんでいいのか!!!」

 

"We are"の余韻の消えない中、最後の曲"完全感覚Dreamer"へ。RyotaToruTomoyaも、最後の曲に全てをぶつけるように身体全てを使った演奏を見せる。Takaはスタンドから再びステージへ、全力のボーカルと全速のステージングで、マリンスタジアムONE OK ROCKというバンドの存在を証明していた。

 

新木場で見たONE OK ROCKが見せたのは、ELLEGARDENが復活し、そして同じステージに立てることの喜びと、エルレとファンへの敬意と愛に溢れた、祝福を体現したロックキッズのステージだった。でもマリンスタジアムで見たONE OK ROCKは、感謝と尊敬を胸に日本のトップバンドとしての圧倒的なスケールでその矜持と覚悟を見せていた。しかしそれ以上に、このツアーが終わることへの抗いようのない寂しさを振り払うかのような、願いが込められたステージだった。

 

ONE OK ROCK セットリスト

1.Taking Off

2.The Beginning

3.Clock Strikes

4.Take what you want

5'I Was King

6.Mighty Long Fall

7.We are

8.完全感覚Dreamer

 

ワンオクのライブを見て、TakaのMCを聞いて、「エルレはこのツアーで解散するのかもしれない。」という考えがふとよぎった。誰の証言も、何の確証もないが。一度生まれた疑念は消えず、エルレの出番を前に重く苦しい気持ちが心に広がっていく。「こんなに好きなバンド他にいないのにどうするんだよ。」SEが鳴り始めても、憂鬱な気持ちは晴れない。「考えても答えは出ないし、今は今を楽しもう。」無理矢理そう自分に言い聞かせる。新木場と同じ、SEの後に少しの間。

 

ELLEGARDEN

 

Nothing I can do as well
But to dream her all the time
I'm a fuckup and I'm nuts so she's gone

1曲目は約束の曲"Supernova"。新木場ではいきなりイントロから入るアレンジだったが、今日は細美のギターと歌から始まるアレンジだった。それはこの10年間、何百回とライブ映像で見た、何百回と頭の中で描いたELLEGARDENの復活ライブのオープニングだった。完全な不意打ち。「えっ?」。新木場と違う?そんな頭の混乱をよそに、細美の歌に生形のギターと高田のベース、高橋のドラムを聴けば、否が応でも気持ちは昂ぶる。何百回と聴いた"Supernova"は、いつも空だって飛べるんじゃないかってくらい、心に翼をくれた。実際に空を飛べる日なんて一度も来なかったけど、でもこんな自分にも、一歩踏み出す力をくれた。ふと周りを見渡す。みんな泣いていた。みんなこの日を待っていた。それは自分もそうだったはずだ。この10年、ただこの日をずっと待ってたんだ。未来のことを考えるのは今じゃない。さっきまで心を覆っていた雲は振り払われていた。気がつけば全力で拳を上げ、モッシュの渦へと身体は吸い込まれていく。

 

"No.13"から"Pizza Man"へと新木場と同じ流れ。でも今日は3万8000人の観客がいる。"No.13"のジャンプも"Pizza Man"での大合唱も、波がうねるように大きな力になり、その熱とエネルギーが会場中に伝播していく。

 

細美「こんばんは、ELLEGARDENです!!…………ただいま。」

細美「(指に手を当てて)シーっ、静かにして。子ども以外黙ってて。『よー!外で聴いてる連中よー!!!怪我すんなよ!!!』(場内の人を指差しながら)お前らも怪我すんなよ。」

 

会場の外にいる音漏れを聴きにきた大勢のファンに呼びかける細美。 場内に届いてくる歓声。いつだって、ファンのことをこのバンドは考えてきた。やり方が常に正しかったわけではないかもしれない。でも自分たちのスタンスを貫きながら、それでいてファンも幸せにする方法はないか、みんなを笑顔にする方法はないかを考えてきた。その声は、会場の外で音漏れを聴いていたファンに間違いなく届いたはずだ。

 

会場の外のファンとも繋がった勢いのままに"Fire Cracker"へ。

To find it floating in my static dream

僕のスタティックな夢の中にはそいつが浮かんでるってのを見つけ出すために

Just sing it, sing it

ただ歌うんだ 歌うんだ

Even though I've never said the words

僕が口に出して言わなくったって

Don't fake it, no more

もうごまかすのはやめにするんだ

To find it floating in your static dream

君のスタティックな夢の中にはそいつが浮かんでるってのを見つけ出すために

Just sing it, sing it

ただ歌うんだ 歌うんだ

Even though you've never said the words

君が口に出して言わなくったって

I feel right now

感じてるんだ

サビに出てくる「そいつ」がなんなのか、リリースされた当時はよくわからなかった。でもきっと「そいつ」っていうのは、自分がずっと持っていて、でも自分では気づけていなかった信念のようなものだと思った。自分の正直な気持ちの見つけ方はエルレの音楽が教えてくれた。エルレと出会って15年、失敗や遠回り、自己嫌悪した夜は数え切れない。でも情けない自分でも、少しでもマシになりたいと、エルレの音楽とともに生きてきたつもりだった。自分の信じたものを信じ、そしてそれを信じる自分を信じた。全てのピースが揃って、自分のことを初めて愛せるような、そんな奇跡みたいなこの夜を連れてきたのは、エルレの音楽であり、そして自分自身だ。今日までの人生は間違ってなかったのかもしれない。夢のような現実がここにはある。自分として生まれて、自分として生きてきたことがこんなに誇らしく思える日は初めてだった。

 

"Space Sonic"、オルタナティブなコードと展開を当時のヒットチャートへ送り込んだこの曲でエルレを知った人も多いだろう。イントロが鳴るとまるで日本中を沸かせたミリオンヒットのように迎えられる。"高架線"では手拍子とともに優しい一体感に包まれる。


細美「なんも言うことないんだよな。なぜならただのバンドだから。意外と普通でしょ?こんな感じよ?今日はしこたま酒飲むから、二日酔いか三日酔いから醒めたら、今日がどういう日だったか、4人でメシでも行って話そうと思います。雄一はなんかある?」

高田「特にないです。(全員無反応)……………誰も助けてくれないんですね。」

高橋「気持ちの10%は雄一の髪型の後ろがキャプテン翼みたいになってて、それが気になって仕方がない。」

生形「10年………、こんなに待ってくれた人がいて、外にもいて、今日来れなかった人もいて。おれたちは幸せなバンドです。」

 

細美「懐かしい曲をやります。」

 

そうして始まったのは"Missing"。新木場ではサビの歌詞を間違えていた細美だが、今日は完璧に歌っている。最後のサビでは、スタジアム中の合唱を両手で煽る。これは「仲間の歌」だ。間違っても、失っても、彷徨っても、この場所に来れば1人じゃない。そしてこの記憶があれば、また明日を迎えられる。

 

"スターフィッシュ"、"Autumn Song"とエルレの中でも特に人気の高い曲たちが惜しげもなく披露される。満面の笑みで歌う細美。モニターに映る生形と高田と高橋の表情からも、充実感や喜びが伝わってくる。

One thing I miss at the center of my heart

ハートの真ん中にひとつだけ足りないんだ 

どうしようもない孤独を歌った"Autumn Song"も、みんなと一緒なら、こんなにも笑顔で歌える。


"風の日"では一際大きな合唱が起こる。細美の歌声とファンの歌声が重なる。間奏では細美の「生形ー!!」という叫びとともに、生形のギターソロへ。キャッチーで耳に残り、曲の表情を決定づけるようなフレーズの数々。エルレのギタリストはやはり生形しかいない。

 

細美「初めて会う奴が、多分半分ぐらいいると思うんだよ。子どもの頃両親が車の中で聞いてたって奴らや、中学生の時に『高校生になったらライブ行こう』って思ってたら活動休止しちゃった、そんな奴らばっかりだと思う。ここにいるのがELLEGARDENで、おれたちはこんな感じです。以後お見知りおきを。そして相変わらず綺麗ごとも言えずに、10年経っても周りになじめず浮き狂ってるお前らオールドファンにこの曲を捧げます。」

 

そうして歌われたのは"Middle Of Nowhere"。エルレを活動休止後、細美はthe HIATUSを結成した。パンクから距離を置いたオルタナティブで内省的な楽曲を表現していく中で、細美のボーカルもより深く、より遠くに、その表情は陰影を湛え研ぎ澄まされていった。そんな細美の歌声で歌われる"Middle Of Nowhere"は、マリンスタジアムに集った3万8000人の一人一人の心の奥底に届くような、完璧なスタジアムロックとして鳴っていた。

 

細美「ワンオクに一緒にやろうって誘ってもらって、2年前から8月15日にマリンスタジアムでライブをやることが決まっていて。おれたちこんな広いスタジアムでライブをやるようなロックスターになりたいなんて一度も思ったことないんだよ。でも最初で最後のスタジアムライブだから、今日だけはロックスターになってもいいかな?(他の3人を見ながら)な、やってみようぜ。 」

細美「1分だけもらっていい?…(言葉に詰まりながら)こんな日が来たら全部報われちゃうな。全部………。………………………おれ1分もらって何言おうとしてたんだっけ?笑。生形にパスします。」

 

ファンそれぞれの10年以上に、当事者であるメンバー4人は本当に沢山の想いを感じていたはずだ。その感慨を噛みしめるように話す細美。途中で感極まり、言葉を詰まらせる。

 

生形「おれたちね、そこの西船橋から車ですぐのとこで結成してね。週3日、1日8時間スタジオ入ってて。細美さんがその頃、この辺住んでたから、練習終わったあと車で細美さんを家まで送って行ったりしたこと思い出してた。」

 

細美のパスを受けた生形も、彼にしか見えない景色を思い浮かべたのか、目を細めていた。

 

MC明けの"Surfrider Association"は夏がこれから始まるような、第2のオープニングナンバーのように十分に温まった客席にさらに火をつけ、"Marry Me"はこれまでの片想いのほろ苦い記憶を思い出させた。そんな時もこの曲はそばに居てくれたことも。"Lonesome"のアウトロ、細美と高橋は見つめ合いながら演奏する。高橋の瞳は潤んでいるように見えた。言葉のない時間、音楽を通して、お互いの10年を語り合っているように見えた。

 

夜空の下で聴く"金星"は、夢に見たような世界が存在するということを、より強く感じさせてくれる。

 

細美「(金星を終えて)良い歌詞だよな。この曲を作った頃、正直者は馬鹿を見るってしたり顔で言ってきた周りの大人が言うように、世界がそうじゃかったらどうしようって思ってたんだけど、誇らしく思うよ。今日この日に見合う努力をおれたちがやってこれたかはわからないけど、おれたちは4人とも正直に生きてきたつもりだよ。正直に生きてきたから10年もかかったんだよ。」

細美「今日は幸せになっていいですかね? 」

細美「おれたちミュージシャンの仕事は、 お前らみてぇな臆病者共の背中をちょっとだけ押したりとか、 お前らバカ共に『大丈夫だぞ、1人じゃねぇぞ』って言ってやることだからさ。」

 

そんな細美のMCから歌われる"サンタクロース"は、ELLEGARDENからファンへの贈り物のようだった。

I'm Santa Claus 君に千個のプレゼント
どれもこれも安物なんだけど
Santa Claus 一年に一度だけだから
Santa Claus 君に全部あげるよ

これまで何度も、エルレの音楽に背中を押され、1人じゃないと思わせてもらった。そうやってエルレにもらったものをもう1度、一つ一つ確かめながら、改めて贈られたプレゼントを受け取り、言葉にし尽くせない感謝は、涙になって瞳から溢れていく。

 

"サンタクロース"の余韻も消えない中、生形のギターの音が鳴る。イントロを前に確信し、次の瞬間には身体は前方に駆け出してた。一度もライブで聴いたことがなく、ずっとずっと聴きたかった曲、"モンスター"。意識よりも先に、喜びが身体を走らせる。

そういう二つとない宝物を集めて
優しくも揺れてる声と合わせて
一つ一つ片付けてく僕らは
不確かなまま駆けてく

正解なんてものはないし、周りも自分自身も変わってく。きっと死ぬまでそうだ。でもその中で出会ったものが自分を支えてくれているし、救ってくれた声は今も胸に残っている。これはエルレの音楽と生きていく自分の人生のBGMだ。そうして生きてきた。そしてこれからも。


細美「最後のMCになっちまったな。ちなみに沢山カメラが入ってるけど、今日のライブはDVDにはなりません。ワンオクとのこの旅、別に長旅じゃねぇけどまるで映画みたいな旅で。 その映画のハッピーエンドみたいな日がここにあって。お前らそれぞれの10年の物語があって、これはそのほんの先っちょにひっついてるだけだろ?お前らそれぞれの10年をおれたちの10年で上書きするのはよくないと思うんだよ。お前たちの10年はさ、今度ゆっくり聞かせてくれよ。お前ら今日が人生最高のライブだって言うかもしれないけど、人間は忘れていくものだし、この先もっと楽しいことがあるよ。おれたちの頂点はここじゃない。でも、今日が人生で一番幸せな日です。ありがとうございました。」

 

この10年、「エルレの活動再開ライブを見るまでは死ねない」と半分は冗談、でも半分は本気でそう思って生きてきた。だから今日が来るのが本当に楽しみだったと同時に、終わってしまうのが嫌だった。明日から誰かとの約束のない日々を頑張って生きていけるんだろうか。でも細葉が言ってくれた。「ここが頂点じゃないよ」。生きててよかったと心から思わされた。でもそれだけじゃなく、また今日のような日が訪れることを信じたくなる言葉をもらった。本当にそんな日がまた来るかはわからない。でも信じることで、これからも続く道を歩いていける。

 

生方「おれはもう沢山喋らせてもらったから。本当に今日はありがとう。」

高橋「おれはこの4人が集まってやることはもうないのかなと思ってた。なんの確証もないけし、みんなで活動休止と約束したけど。でも今日このステージに立てて、まおれは座ってるんだけど笑、本当に嬉しい。ここから見えるみんなの顔見てたら、懐かしいなーって。楽屋で色々言うこと考えてたんだけど、全部飛んじゃった。」

高田「初台WALLでのライブばっか出てたんですけど、今日このステージに立って勘違いしてしまいそうです。今度からは初台WALLのブッキング断っちゃうもしれません。ありがとうございました。」

 

4人の声を受け、ライブは最後のブロックへ。"Red Hot"が流れると、ライブ終盤にも関わらずフロアの狂騒は何度目かのピークを迎える。就職活動で冗談抜きに何十社も落ちてた時、毎朝この曲を聴いて力をもらっていた。

ヘビーなサウンドと細美のファルセットが美しい"Salamander"が胸を掻き毟る。そう言えばこの曲のMVを見て、細美と同じVANSのスニーカーを買いに行ったんだ。

過去の思い出が曲とともに鮮明に蘇ってくる。でもこの胸を熱くさせるのは、ノスタルジーではなく目の前の4人から放出される熱量だ。

 

細美が右手の人差し指を空に向けて伸ばす。"ジターバグ"。 15年前に、この曲で自分はELLEGARDENに出会った。この曲がなかったら、今の自分はいない。

たった一つのことが今を迷わせてるんだ
誰を信じたらいいのか気づけば楽なのに

当時中学生だった自分は、細美武士を信じていた。ずっと心の中にあって、でも自分では見つけられていなかったものを歌ってくれる彼の言葉に何度も救われた。もっと自分を大事にしてあげて。君は間違っていない。君は一人じゃない。その声はいつだって、暗闇を切り裂いてくれた。あんな人になりたいと思った。でも15年経った今ならわかる。信じるべきは自分自身なんだ。彼を信じた自分を信じた。自分の信じたELLEGARDENというバンドは、約束を守って帰ってきてくれた。自分を信じて生きてきてよかったこれまでの全てが報われていくようだった。そしていつか、そんな言葉を自分も言えるようになりたいと思った。

 

本編の最後は"虹"。

迷わずにすむ道もあった

どこにでも行ける自由を

失う方がもっと怖かった

 
細美「そうだろ?」

サビの前で、客席に問いかける細美。

 

この日歌われたエルレの曲を聴いていたら、まるでこんな日が来ることがわかっていたかのような曲ばかりで驚く。

 

10年、短くはない。でも、自分に正直に生きることを諦めなかったからこそ、それまでの全てが報われるような、こんな日が迎えられたんだと思う。それはメンバーも、ファンもきっとそうだ。積み重ねた思い出が音を立てて崩れたって、僕らはまた今日を記憶に変えていける。間違いやすれ違いが僕らを切り離したって、僕らはまた今日を記憶に変えていける。最後に笑うのは、正直な奴だけだ。

 

本編が終了し半ば放心状態のままアンコールへ。アンコールはこの曲。

 

細美「こんなに人のいるとこでさ、もうちょっと最後にお前らの声聞きたいんだよな。2018年8月15日。おれたちの再結成ツアーのファイナルでもあるけど、今日は終戦記念日でもあります。昔はこれっぽっちも考えなかったけど、ミュージシャンが愛や平和を歌うのは大事だなって。お前の隣にいる奴が、1人になりませんように、今日の帰り、誰かが傍にいてくれますように、すげー簡単だろ?どうせお前ら日頃そんなこと考えて生きてねーだろ?おれもだよ笑。だけどこの3分だけ、付き合ってくんねーかな、おれたちに。」

 

"Make A Wish"。アリーナには巨大なサークルが作られ、知らない人同士で肩を組み、大声で歌っている。こういう時照れくさくて、自分はその輪には参加しなかった。でもこの歌を、力の限り歌った。例え肩を組まなくても、場内の3万8000人、音漏れを聴きに来た人たち、今日この場所に来れなかった人たちも、みんな気持ちは同じはず。

願い事をしようぜ
簡単なやつを
君が一人きりじゃなくて
そばに誰かがいて手を握ってくれるように

願い事をしようぜ
君が無事でいて
悲しませるものもなくて
そばに誰かがいて抱き締めてくれるように

君が歩く道すがら
そばに誰かがいて抱き締めてくれるように

エルレの音楽がずっとそばにいてくれたこと。そしてエルレの音楽が、自分と似たような人がこんなに沢山世の中にはいることを教えてくれた。そして繋げてくれたこと。歌が現実になっていく。

 

細美「あともう1曲だけやらせて」

 

そして月の真下で"月"が披露される。スタジアムでも、2番にさしかかると全員がしゃがむのを促す細美。

 

細美「無理しないでいいからね、全員座るまで待ってるから。」

細美「流石に全員が座るのは無理があるな笑」

 

笑いながらも、全員がしゃがむのを待つ。こんなにも沢山の人が同じことを一緒にしている不思議。居心地は悪くない。月は綺麗で、夜風が気持ちいい。この曲の言う通りだ。こういうものには、きっと勝てない。

 

ダブルアンコールは"BBQ Riot Song"。湿っぽい終わりは似合わないと言うかのように、最後の最後までカラッとしたアッパーな曲で客席の笑顔を誘う。

Time is always passing by

時間はいつも過ぎ去るだけ

May not be the only way

そうじゃなかったらいいのにさ

I remember you

今でも君を思い出すよ

See you some time on the beach

またいつかビーチで会おうね

 曲が終わると不意にマリンスタジアムの空に花火が上がった。夏の夜を彩る花火は本当に綺麗だ。「晴れてよかったな」。今更そんなことを思う。でも、綺麗だと見惚れている内にあっという間に終わってしまったそれは、このエルレの復活劇のようだった。ワンオクを含めて約3時間。ELLEGARDENの活動再開の旅は幕を下ろした。

 

周りにエルレを知ってる人は誰もいなかった中学生の頃。友達にエルレを聴かせて「この曲良いね!」と言われると、自分を認めてもらえたみたいで嬉しくなった。そして段々とみんなが知らない音楽を探すうちに、同時に周りのやつを見て「おれは他の奴とはちょっと違うんだぞ」って、勘違いも生まれていった。でも高校生の時エルレのライブに来て、自分みたいな人は沢山いることを知る。自分は何も特別じゃない。ごく普通の高校生。でも同時に、自分みたいな人が沢山いることに安心した。今自分の周りに同じ気持ちの人がいなくても、自分は1人じゃないんだ。10年後の今、マリンスタジアムの景色を見て、それを再確認する。

 

エルレがこれからどうなるか、それはわからない。メンバーの中で答えは出ているかもしれないないし、出ていないかもしれない。出ていたとしても、未来のことは誰にもわからない。

 

もしまたいなくなってしまったら、その時は10年前の9月7日のように、寂しさにポッカリと心に穴が空いたような気持ちになるんだろう。泣いたって何も変わらないけど、でも泣いてしまうかもしれない。

もしまた4人でライブをしてくれるとしたら、その時は今年の5月10日のように、すれ違う人全員とハイタッチしたくなるような、生きててよかったなと、自分が報われるような気持ちになれるんだろう。嬉しさのあまり、泣いてしまうかもしれない。

 

でもどんな未来が待っていたって、一つだけ確かなことがある。周りから浮いてたって、話ができなかったって、理解されなくたって、馬鹿にされたって、絶対に揺るがない確かなこと。

 

 

君は1人じゃない

 

 

隣に誰もいなくても、それを感じられる。それはこの10年、活動していなくたってエルレの音楽がずっと心に在り続けたように、君が一人きりじゃなくて、そばに誰かがいて手を握ってくれるように、これからも変わることはない。

 

でも今回待っていたけど見れなかった人が沢山いるから、やっぱりまたツアーをやってほしいな。待っていた人たちみんなが笑顔になれるように。そしてライブハウスで会えた時は、みんなの10年間を聞きたい。本当にそう思う。

 

待つのには慣れてる。

だからまたいつか、ライブハウスで会えるその日まで。

ELLEGARDENを愛するみんなとともに、その日を信じてる。

 


ELLEGARDEN - Make A Wish

 

 

ELLEGARDEN セットリスト

1.Supernova

2.No.13

3.PizzaMan

4.Fire Cracker

5.Space Sonic

6.高架線

7.Missing

8.スターフィッシュ

9.Autumn Song

10.風の日

11.Middle Of Nowhere

12.Surfrider Association

13.Marry Me

14.Lonesome

15.金星

16.サンタクロース

17.モンスター

18.Red Hot

19.Salamander

20.ジターバグ

21.虹

EN.

22.MakeAWish

23.月

EN.

24.BBQ Riot Song

 

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約束 - 2018.8.8 ELLEGARDEN - THE BOYS ARE BACK IN TOWN TOUR 2018 w/ ONE OK ROCK

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■約束 

2008年9月7日、ELLEGARDEN活動休止前最後のライブが新木場スタジオコーストで行われた。当時大学生だった自分は大阪に住んでいたが、大阪でのツアーのチケットは取れず、その最後の姿を見ることも、活動が止まる実感もないままその日を迎えた。活動休止をアナウンスし、メンバーそれぞれの個人活動のリンクが張られたホームページを見た時ようやく、「本当に活動休止なんだな」と胸に穴の空いたような寂しさがやってきた。人づてにチケット希望のボードを持った人で新木場の駅から会場までの道が埋め尽くされてたという話を聞いたのは、それからずっと後の話だ。

 

2018年8月8日、あの日から約10年。この日が遂にやって来た。近づく台風の影響により2日前に先行物販が中止になるなど、当日の状況は依然不透明だったが、ライブが行われることを信じ、合羽を手に新木場へと向かう。

 

新木場駅に着いたのは15:30頃。駅を出ると、台風の影響で強い風と激しい雨が打ちつけていた。しかしそれよりも目に飛び込んで来たのは、チケットの同行希望のボードを持ったファンの多さだった。皆それぞれの想いをボードに込め、祈るようにその場所に立っている。伝わってくる痛いほど切実な思いに、目を合わせられない。もし自分がチケットがなかったらどうしてただろうか。自分のこの10年と目の前の人たちの10年、天秤にかけたらどちらが重いんだろうか。「待ち続けた全ての人がライブを見れたらいいのに」、チケットを持ってる人間が言ったら、それはやはり綺麗ごとなんだろうか。

 

16:00過ぎ、新木場スタジオコーストに着く。コーストの看板に掲げられた「ELLEGARDEN」という文字。それまであまり湧かなかった実感がフツフツと湧いてくる。「本当にエルレを見れるんだ」。依然雨と風は体を打ちつけているが、それ以上に込み上げてくる興奮と期待に逸る気持ちがそれを忘れさせた。

 

16:30、入場が始まる。17時過ぎに中に入ると既に物販待ちの長蛇の列ができていた。場内にこんなに物販の列ができることはおそらく異例で、何度かコーストには来たことがあるが初めて見た光景だった。約1時間程の並びの後、物販売り場へ。その時点でキャップのグレーと黒のコラボTシャツが売り切れていたが、先行物販が中止になった影響か、多くのグッズの在庫はまだあるようで、希望していたものはある程度買えた。台風が来ず先行物販があったら買えなかったかもしれなかったという安堵感と、台風が来ていなかったらグッズだけでも欲しいという人たちも買えたんじゃないかという罪悪感。雨と風の中、祈るような表情でボードを持っていた人たちの顔がよぎる。こういう時どうすればいいのか、何を思えばいいのか、答えはわからない。自分にできることは、今日この場に来れなかった人たちがいるということを忘れず、このライブに全力で向き合うことだと、自分に言い聞かせる。

 

ロッカーに荷物を預け、フロアでその時を待つ。開演時刻が迫るにつれ緊張感は増していき段々と吐きそうになってくる。もう二度と訪れない瞬間の重みがプレッシャーになる。こんな気持ちで見るライブは、生まれて初めてだ。そしてできれば、もう二度と勘弁してもらいたい。

 

開演予定の19時を少し過ぎた頃、「ドドドド」という地響きが入り口の方から聞こえる。人がなだれ込み、ドアが固く閉ざされる。そして暗転。

 

ONE OK ROCK

先行はONE OK ROCK

 

入場のSEとともに、ToruTomoyaRyotaが各々のポジションにつく。そしてTakaがステージに現れるや否や叫ぶ。

 

Taka「おまえらこの日をずーっと待ってたんだろ!!!おれたちも同じだよ!!!今日はみんなにとって最高の一日になってます。まずはONE OK ROCKで体温めてください。」

 

入場のSEも鳴り止まぬ中、Takaの渾身の言葉が会場に轟く。エルレを待ったファンに対し、同じようにエルレを待ち続けた1人として向き合うTakaの真っ直ぐな言葉にいきなり胸ぐらを掴まれる。

 

オープニングナンバーは"Taking Off"。今では幾多の大会場を次々とソールドアウトさせ、日本のみならず海外でも圧倒的なスケールのライブを魅せるワンオクが、今夜はエルレのためにこのライブハウスに帰ってきた。

 

Taka「ELLEGARDEN復活おめでとうございます!おこがましくも、ファンの一部として、細美くんに会った時『エルレいつ復活するんですか?』って聞き続けて、そしてようやく、色んな問題を乗り越えてこの日を迎えられました。でもこの日を導いたのは、みなさん一人一人がいたからだと思います。本当にありがとうございます。ELLEGARDENのことを話し始めたら5時間ぐらい喋っちゃうから笑、曲やります。」

 

"The Beginning"、"Clock Strikes"と近年の代表曲が惜しげもなく披露される。現在進行形の本気のワンオクのライブだ。アリーナやスタジアムクラスの射程を持つ楽曲達に、新木場スタジオコーストがとても狭く感じられる。

 

Taka「はじめましてONE OK ROCKと言います。ELLEGARDENが10年前この場所で活動を休止した当時、僕らはバンド結成3年目。エルレの背中を追って、エルレを聴いて育って来た僕たちが今の地位を築き上げて、10年後同じステージに立てる喜びは計り知れません。」

 

"Take what you want"の前奏に乗せTakaが語る。エルレのことを話すTakaは本当に純粋な1人のキッズだった。この日を同じように待ったファンの1人として、驕らず、謙虚に、丁寧に言葉を選びながら、全霊のパフォーマンスでこの日を祝福していた。"Take what you want"でのロングシャウトはその場に立ち尽くしてしまうほど圧巻で、自然と涙が出てくるような魂の込もった叫びだった。

 

Taka「地球って惑星がこの宇宙に存在すること自体が奇跡と言ってもいいのに、その中でも今日ここにきてる皆さんは、奇跡を超えた何かを持ってるんだと思います。台風なのに会場に入れなくても外に来てる人たちにも届くように、バンドだけじゃなく、みなさんも想いを出し尽くしていきましょう。」

 

後半戦へと向かうライブのボルテージを更に上げる"Mighty Long Fall"。モッシュはより激化し、エルレの昔のTシャツを着たファンも少しずつ巻き込み、会場の熱はラストスパートへ向け高まっていく。

 

Taka「もうエルレだけやればいいって、僕たちもそう思ってますよ笑。今日はキッズに戻りたいので、これが終わったらそっち(客席を指差しながら)に行きます。正直今日はそれをしにきました。なので僕を見つけても声をかけないでください。だってELLEGARDEN全然ゲストいれないんだもん。一緒にやらないと、見れないんだもん。」

 

Taka「知ってる人はよかったら一緒に歌ってください。」

 

 "We are"。会場に来ていたファンのほとんどはおそらくエルレのファンで、自分がライブ映像で見ていたような会場中を震わせるような大合唱は起きていなかった。それでも客席にマイクを向け続け、ファンの声に耳をすますTakaの眼差しが、バンドの揺るがない信念を感じさせた。

 

Taka「僕たちはこの曲のおかげで細美武士という人に出会えました!最後にその曲をやります。」

 

最後の曲は"完全感覚Dreamer"。この曲ばかりはエルレファンも次々と前線に突っ込んで行き、モッシュやダイブが次々と発生する。思えば8年前、初めてONE OK ROCKのライブを見たのは今はもうなくなってしまったZepp Osakaだった。"This is my own judgment" TOUR。自分がワンオクのライブに行くきっかけになったのもこの曲だった。そしてその場所は、自分が初めてエルレを見たライブハウスでもあった。そこから8年、この曲とともに階段を駆け上がってきたワンオクをもう一度ライブハウスで、しかもエルレの活動再開ツアーで見る日が来るなんて。Takaはステージを縦横無尽に駆け回り、Tomoyaの「新木場ぁぁぁ!!!」という叫びはライブハウスに響き渡る。

 

海外ツアーを精力的に周り、国内ではドームツアーを即完させるほど文字通り日本のトップバンドへと登りつめたONE OK ROCKがこの日このライブハウスで見せたのは、ゲストバンドとしての清々しいほどの潔さと、この日を待ち望んだファンへの敬意、そしてELLEGARDENというバンドへの深い、深い愛情だった。

 

セットリスト

1.Taking Off

2.The Beginning

3.Clock Strikes

4.Take what you want

5.I was King

6.Mighty Long Fall

7.We are

8.完全感覚Dreamer

 

ELLEGARDEN

 

ワンオクの文句無しのパフォーマンスに心打たれたのも束の間、頭はすぐに目前に迫った現実を認識し始めた。

 

「もうすぐELLEGARDENが観れる。」

 

何百回と妄想した、あの瞬間が、目と鼻の先に近づく。暗転する。きた!!SEは10年前と同じ。まだ夢のようで実感がわかない。客席の「オイ!オイ!」というコールに合わせるように、バックドロップが迫り上がってくる。何度もライブDVDで見た、10年前に新木場スタジオコーストに掲げられたものと同じ、「ELLEGARDEN」と刻まれたバックドロップだ。夢でも幻でもない。音が鳴り止んだ。少しの間が空く。

 

1曲目は約束の曲"Supernova"。2014年9月7日に更新された細美のブログに書かれた言葉を信じ、この日を、どれだけの人が待っただろうか

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アルペジオから入るのか、それともいきなりサビの歌い出しからか。しかしそんな何百回と重ねた妄想シュミレーションを裏切るように、ベストアルバムと同じいきなりイントロに突入するアレンジでライブはスタートした。完全な不意打ち。「えっ?」。混乱する頭。でもすぐに、身体と心に染み付いたギターとリズムに自然と手足が動き始める。突き上がる拳。細美のボーカルに自分の声を重ねる。夢じゃないんだな。気づけば涙が溢れてくる。頭で考えるよりも先に、モッシュピットへと身体は走り出していた。

 

2曲目は"No.13"。もうどの曲が来たって、待ってましただけど、この曲は殊更に特別だ。この10年間、毎年9月9日はこの曲を聴いて、彼らの帰りを待った。同じようにこの曲を聴いて待っている人たちがいることに、心が和らいだ。そして今、目の前にはその曲を演奏する4人がいる。さっきから泣きっぱなしだ。でも悲しい涙じゃない。弾けるような喜びそのままに、笑顔で飛び跳ねる。

 

続く"Pizzaman"では溜めに溜めたこの10年の気持ちを爆発させるように「Pepperoni Quattro!!!!!」のシンガロンガに込めた。

 

たった3曲で早くも信じられない熱量に達するライブに我を忘れて完全にハイになっていた。

 

細美「楽しすぎてわけわかんなくなる前に言わせて。まずは10年間待たせてしまって本当に申し訳ない。そして足元の悪い中来てくれてありがとう。ワンオクのメンバーとスタッフの皆さんも本当にありがとう。もうなんて言えばいいかわかんないから、今日は全てを受け入れる。」

 

細美「なんだろーな。この気持ちをどういう風に言えばいいかわかんないんだよ。明日ぐらいになってやっとどういうことかわかってくるのかな。どうよ?(他のメンバーを見ながら)」

雄一「難しい質問ですね。こんな序盤に振られると思ってなかった。ちょっと前半でパニクってて。」

高橋「おれもパニクってる。」

生形「思うことは色々あるけど、本当に今日は来てくれてありがとう。今はそれだけ。」

 

細美「こういう時感動的なことでも言えたらいいと思って、2年前から今日何を話そうかってずっと考えてたんだけど、なーんにも思いつかなかった。なぜならおれたちはただのバンドだから。パーっと派手にやるだけ。ただ今日が少し特別なのは、普通だったら半年とか3ヶ月とか頑張れば、またあの場所に帰れるっていうものが10年待たせてしまったってこと。今日はその10年間我慢したオナニーのように溜まりに溜まって感度ビンビンになった……はっはっは、結局これかー笑。(高田の方を見て)大丈夫かな?こんなんで?(そして頷く高田)。」

 

10年という感慨を感じさせながらも、そこに流れるのは自然体の4人の空気だ。あくまでバンド、あくまでライブ。4人が言葉を交わしあう光景をもう一度この目で見れたことが嬉しい。

 

そしてライブは次のセクションへ。始まりは"Fire Cracker"。獰猛なギターリフ、跳ね上がるような曲展開と爆発力に、頭のネジは更に飛び散っていく。

Now I've got this far anyway
結局こんなところまで来ちまった

And I finally turn to my last page
ようやく最後のページに辿り着いたよ

These countless memories still holding me back
無数の思い出がまだ支えてくれている

Am I sick ?
いかれてるかな

Not anymore
もう大丈夫

How could I be tonight ?
今夜に限っては大丈夫だよ

 

We can be as one as well
僕らは一つになれるから

エルレの活動再開ライブを見るまでは死なない」。半分は冗談、でも半分は本気でそんなことを考えていた。エルレの曲に支えられながら、そうやってここまでの日々を乗り越えてきた。12年前にリリースされたこの曲は、こんな夜のためにあったんじゃないか。今日何回泣かされるんだチクショウ。

 

"Space Sonic"、"高架線"とアルバム『ELEVEN FIRE CRACKERS』の楽曲が続く。シリアスでウェットに富んだ曲の中にも、やさしさや切なさが顔を覗かせる。

思うよりあなたはずっと強いからね

"高架線"のこの言葉にも、何度も勇気をもらった。

 

ファン「結婚して子どもができたよ!」

MCに入りフロアから飛ぶ声にも、月日を感じさせる。

 

細美「10年間色々あったよな。おれたちも色々あったよ。ただ一つ言えることは、この色々あった10年間があったから、強くなれました。色々あったこの10年間、話し出したらTakaが言ってたように何時間も話せるから、おれたちの10年間はこの曲に込めるから、お前らの色々あった10年間も思い出しながら聴いてください。過去を今に、現在進行形に、時を戻そうぜ。」

 

そうして演奏されたのは"Missing"、「仲間の歌」とリリース当時細美は語っていた。一緒に歌うように客席を煽る細美。最後のサビではスタンドマイクを客席に向け、ファンの歌に声を重ねる。

重なって 少し楽になって

見つかっては ここに逃げ込んで

笑ったこと 思い出して

We're Missing

We're Missing

We're Missing

細美はサビの「重なって少し楽になって」が1番も2番もどうしても出て来ず歌えなかった。でも細美が歌えなくてもファンが歌える。これまでだってそうやってきた。

 

"スターフィッシュ"、"Autumn Song"、"風の日"と、エルレの曲でも特に人気の高い曲たちが次々と披露される。フロアは嵐のよう。止まらない合唱。日本語詞も英語詞も関係ない。10年以上前、学校からの帰り道、カラオケボックス、自分の部屋、いつも口ずさんでいた曲たちの輝きは全く色褪せない。

 

細美「この気持ちの正体が段々わかってきた。おれこんなに嬉しいのが初めてだからなんて言ったらいいかわかんないんだよ。」

 

細美「濃いいオールドスクールなファンに向けて、心を込めてこの曲をやります。」

 

"Middle Of Nowhere"。間奏の生形のギターソロはなく、音源に忠実なアレンジとなっていたが、より伸びやかに、円熟味を増した細美のボーカルが描くこの曲の孤独と優しさが深く、深く突き刺さる。

 

細美「ここMCいらなかったな笑。直前に色々変更になって申し訳ない。でもおれたち本当にここに来るファンの人たちだけのことを考えたんだよ。おれたちは相変わらず完璧じゃないし、バカばっかだけど、バカなりに本当に考えたんだよ。グチグチ言う奴らもいるかもしれないけど、これがおれたちの精一杯です。」

 

今回のエルレの活動再開はライブとは別のところで様々な物議を醸した。チケットもグッズも、全ての立場からの意見に応えられる完璧な正解はない。それでも「ファンのことを考えてくれている」、その気持ちが嬉しかった。

 

細美「まだいける?あと半分ぐらいあるけど。」

 

暴風雨のような前半から更なる暴風雨の後半戦へ。カラッとした夏を感じさせる"Surfrider Association"、センチメンタルなメロディと歌詞が胸を締め付ける"Marry Me"と、休む暇が全くない。"Lonesome"のアウトロでは生形のギターソロが唸る。この曲はベストアルバムにも入っていない隠れた名曲だと思う。この曲も聴けるなんて。

 

そして"金星"へ。

最後に笑うのは正直な奴だけだ
出し抜いて 立ち回って
手に入れたものはみんな
すぐに消えた

上手くいかないことや傷つき、傷つけてしまうことも沢山ある。挫けそうな時、迷いそうな時も何度だって訪れる。そんな時はいつもこの歌詞を思い出した。自分を良い人間だなんて思ったことはない。それでも、自分に恥じないように、自分に正直に生きていたいと思った。そんな風に生きたエルレを思い出しながら、自分もそう在りたいと願ったこの10年。10年前よりはちょっとだけ、マシな人間になれたと思う。

 

細美「色んな物語があると思う。小学生の時、両親が車の中で聞いてました、活動休止してから知りましたって人。おれたちがここでバッチバチにライブやってた頃、自分みたいなやつらがいるんだって思ってたら、ある日突然そのバンドがいなくなっちまって、四苦八苦しながら毎日を過ごして気づいたら今日を迎えてたやつら。久しぶりにバンドやろうよって声かけて集まった、地元の連れのおっさん4人とかね笑。一人一人色んな物語があると思う。だから一言ではまとめれないと思うんだけど、おれにとってはね、諦めないでよかったなって。苦しくて、辛くて、自分が壊れるぐらいのドン底があったから、人生が良くなったと、そう言える日が来てよかったです。」

 

細美「(高田を見ながら)お前はトリな。」

生形「7月下旬からリハーサルを始めて、いい意味で感動がなかったんだよ。こんな感じなんだって。でも今日ライブしてて、(少し間を空けて)…やっぱライブなんだよ。」

高橋「おれはもう二度とこの4人でやれないと思ってたの。確証はなかったしわかんなかったけどね。でも一方で心の中でやれるとも思ってて、その日のためにドラム上手くなんないとなって、体力落とさないようにしないとなって、それがあったからここまでやってこれた。」

細美「じゃあ高田メタルが炎上しそうな発言で締めて」

高田「&cqg#/」

細美「ん?滑舌悪くて聞こえねぇ笑」

高田「ワンオクが『おれたちちょっと温めてくるだけなんで』みたいな感じで最初出てったらバッチバチのライブやってて。危うく騙されるとこだった。あと2公演仙台と千葉、油断しないでやりたいと思います。」

 

最後のMCを終えライブも残すところあとわずか。

 

ここにきて"Red Hot"、"Salamander"と火に油を注ぐような鉄板曲を容赦なく畳み掛けてくる。理性もおぼろげに、コントロールを忘れ全力で楽しんだせいか、少し息が切れ始める。10年分歳もとったからな。息が苦しい。でも楽しい。本当に楽しい。フロアはずっとカオスだ。でもどこもかしこも、笑顔しかない。ステージの4人も、ずっと楽しそうに笑顔でプレイしている。そうだ。自分が好きなったELLEGARDENってバンドは、世界で一番幸せそうにライブをするバンドだった。

 

そして細美が人差し指を上に向ける。"ジターバグ"。15年前、この曲で自分はエルレと出会った。この曲のおかげで自分の人生は変わった。この曲がなければ今の自分はない。この15年間、この曲と一緒に生きてきた。何度となく救われた。曲が始まった瞬間、涙が出た。悲しいわけじゃない。ただ涙が止まらなかった。こんな気持ちになったのは初めてだ。

遠回りする度に見えてきたこともあって
早く着くことが全てと僕には思えなかった
間違ったことがいつか君を救うから
数え切れないほど無くしてまた拾い集めりゃいいさ

10年前にELLEGARDENは活動を休止した。でも活動休止があったから、それぞれの新しい旅が始まった。自分にも沢山の出会いがあり、見たことのない景色を見れた。何が正しかったかは誰にもわからない。エルレがあのまま続いていた未来。エルレに出会ってない未来。それぞれの道に幸せと苦難があったと思う。その先の答えを知ることはできないけれど、でも今、この場所に4人が集まり、また音を鳴らしている。自分も15年前に彼らに出会った時と同じ気持ちで、この場所に立てている。これまでの自分の人生の選択、こういう人間になったこと。良い人間になれてるかはわからない。でも遠回りしたことも間違ったことも、全てがこの場所に繋がっていた。そう思うと、報われた気がした。自分のことを愛せる気がした。生きててよかったと、心から思った。

 

細美「最後はこの曲だと思うんだよな」

本編の最後は"虹"。

積み重ねた 思い出とか
音を立てて崩れたって
僕らはまた 今日を記憶に変えていける
間違いとか すれ違いが
僕らを切り離したって
僕らはまた 今日を記憶に変えていける

「自分が壊れるぐらいのドン底があったから、人生が良くなったと、そう言える日が来てよかった。」細美は言っていた。この曲が全てを表していた。

 

夢のような時間が終わり、メンバー4人はステージを後にする。

 

まだあの曲をやっていない。客席は当然のようにアンコールを求める。再び登場する4人。

 

細美「あと2曲やります。今日何度やっても『さまよっては君に出会って』が出てこなかったな笑 (実際に出てこなかったのは『重なって少し楽になって』だったが)。でもそれ以外は今までのエルレのライブの中でも一番ちゃんと歌えた気がする。前とか歌詞わかんない時ニャンニャン言ってたよな。適当だったよなー笑」

 

細美「7年前に東日本大震災があって、その1ヶ月後に初めて弾き語りをやることになって、メンバーにこの曲やっていいかなって聞いたんだよ。本当に活動休止してから久しぶりに連絡とって。な?(生形を見ながら)。そしたらやってくれ、聴きたいやつがいるならなんなら他の曲もやってくれって言ってくれて。良い奴らなんだよ。」

 

アンコールの1曲目は"Make A Wish"。細美と生形のギターから静かに始まる。エルレが活動を休止した後も、多くの人の心を支え続けた1曲。細美の歌と客席の歌が一つになる。

 

細美「泣いてんじゃねぇよ!笑え!笑」

 

泣いている客席を見て細美が笑顔で喝を入れる。そして大団円の大サビへ。荒れ狂う人波の中、いてもたってもいられず最前付近へと向かう。この日一番近い距離で4人を見る。自分が大好きで、憧れてやまなかったELLEGARDENがそこにいた。今日何度目だろう。また目頭が熱くなる。

 

2曲目は"月"。この曲もまさかやってくれるとは思わなかった。2番の途中でお決まりのあのコーナーへ。

 

細美「無理しないでいいからね。出来る範囲でいいから。」

 

客席が少しずつ後ろに下がり、ゆっくりと全員がしゃがんでいく。しゃがんでしゃがんで、2番のサビで全員でジャンプだ。

 

細美「懐かしいなーこの光景」

 

ライブハウスの中で肩を寄せ合って小さくなった目の前のファンを見て、細美は笑った。

 

フロアにしゃがんでいた時、急に自分の目の前の男性がくるっと振り返る。汗まみれで、でも満面の笑みで頷きかけてくる。辺りを見渡してみる。みんな髪も化粧もボロボロで、Tシャツは汗でべっとりと肌にへばりついてる。熱気でサウナの中にいるみたいだ。でもその汗の一粒一粒がライトに照らされ、瞳に潤んだ涙が光を反射して、本当にキラキラと輝いていた。初めて行ったエルレのライブを思い出した。人がひしめき合って、頭の上を誰かが転がって、むさ苦しく息苦しい。なのに楽しくて、笑顔になれて、扉の外では味わえないような興奮と感動がそこにはあった。ステージに目をやる。そこには自分たちと同じようにキラキラと輝いた、ヒーローがいた。2サビでみんなで一斉にジャンプをする。バカみたいだ。でもなんでこんなに楽しいんだろう。この時間が終わって欲しくなかった。

 

アンコールを終えても、ダブルアンコールを待ちその場を離れない客席。こっちはまだまだ終わらせる気はない。そう思ってた。再び出てきた4人。

 

細美「この曲が終わったらもうどんなアンコールがあっても絶対に出てこないからな。出てこないっていったら出てこないからな。」

 

細美「おれたちは約束を守るバンドなんだよ」

 

10年前、「これが最後じゃないから」と言った細美の言葉を信じた。その約束をポケットにいれ、今日まで生きてきた。そう、ELLEGARDENは約束を守るバンドなんだ。次が本当に最後の曲。本当のラスト、"BBQ Riot Song"へ。最後の最後まで休ませてくれない。ヘトヘトな身体をよそに、気持ちは身体の中で暴れ回っている。

Time is always passing by

時間はいつも過ぎ去るだけ

May not be the only way

そうじゃなかったらいいのにさ

I remember you

今でも君を思い出すよ

See you some time on the beach

またいつかビーチで会おうね

 時間はあっという間に過ぎ去っていく。でもこの先ずっと、この日のことを思い出すんだろう。また会える日を信じて。

 

細美「仙台やマリンスタジアムに来る奴らのためにセットリストはネットに流さないで。まあそう言ってもやるやつはいるんだろうけど。もしネットに上がり始めたらそしたら適当に嘘のセットリスト流しておいて。"My Bloody Holiday"やったとか、1曲目は"おやすみ"でしたとか笑。」

 

去り際、客席にそう残し去っていった。最後まで目の前のファンだけじゃない。ファンみんなのことを、このバンドは想ってくれている。

 

ONE OK ROCKを含め約2時間40分。夢のような時間は幕を閉じた。

 

もっとボロボロになるまで泣くかと思った。いや、実際にはボロボロ泣いていたんだけど、でもそれ以上に楽しかった。懐かしいなんて1曲も思わなかった。この10年、いつも自分の側にいてくれた曲たち。10年前の約束。時に重荷になっていたかもしれない。でも自分はその約束があったから、自分を捨てずに生きてこられた。これまで守れなかった約束も守られなかった約束も、いくつも経験してきた。信じる者が必ず救われるわけじゃない。でも果たされる約束があることを知ってしまった。自分の人生にこんな日が来るなんて思わなかった。細美はこの気持ちを「どう言葉にしていいかわからない。」と言っていた。でも自分ならこう言う。「生きててよかった」と。

 

ELLEGARDEN

本当にありがとう。おかえりなさい。

そして願わくば、信じてきた人たちみんなが笑顔になれますように。

 でもきっと大丈夫。だってELLEGARDENは、約束を守るバンドだから。

 

「全員笑顔にすっかんな:-)」

 

約束はまだ、そのポケットに残っている。

 


エルレガーデン supernova

 

セットリスト

1.Supernova

2.No.13

3.PizzaMan

4.Fire Cracker

5.Space Sonic

6.高架線

7.Missing

8.スターフィッシュ

9.Autumn Song

10.風の日

11.Middle Of Nowhere

12.Surfrider Association

13.Marry Me

14.Lonesome

15.金星

16Red Hot

17.Salamander

18.ジターバグ

19.虹

EN.

20.MakeAWish

21.月

EN.

22.BBQ Riot Song

 

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欅坂46『ガラスを割れ!』自撮りTV全員レビュー / けやき坂46 1期生&2期生

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石森虹花

開始1秒から可愛い。女の子がベッドの上で行う自撮りはなぜこんなに可愛いのか、その秘密を探るためにアマゾンの奥深い密林へ調査に向かいたい。カラオケの場面は普段ユニゾンの中に紛れている石森のソロボーカルを堪能できる。五人囃子はぶっちゃけ人気的にはそれほど高くないメンバーが集まってるけどあの5人は歌もダンスも高い平均点を出せるアイドルとしての基礎能力の高い5人で"結局、じゃあねしか言えない"には本質が詰まってるということを石森は証明している。正直面白い瞬間は1秒もないんだけど石森と石森のおばあちゃんの共同クッキングの映像の微笑ましさ6億ガウスなのでちょくちょく荒れがちな欅界隈は荒んだ時にはみんな石森の自撮りTVを観た方がいい。(適当)

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今泉佑唯

「笑顔を100個撮影」という日本語は正しいのか?という疑問からスタートする今作だが企画趣旨が今泉の笑顔をひたすら撮影するというものなのでそんなもん最高な瞬間しかないに決まっているんですよね。全秒優勝。破茶滅茶にかわいい。まあとにかく可愛い。可愛い以外はあんまり言いようないですね、はい。

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上村莉菜

上村莉菜ちゃんの服がゆるふわ女子大生感MAXで童貞には刺激が強い。上村莉菜ちゃんの彼氏気分が味わえて童貞には刺激が強い。ストローを経由してタピオカを吸う上村莉菜ちゃんの口元が童貞には刺激が強い。僕はタピオカドリンク好きなので普通に参考になりました。ありがとうございました。

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齋藤冬優花

「(まあ一応見るか)」というモチベーションしかないんだが同じ食レポでもただ童貞をブン殴ってるうえむーとは違うんですよね。体を張って頑張ってる。涙を流しながらも激辛ラーメンを食しレポートもする齋藤冬優花の姿には「謙虚・優しさ・絆」が詰まっている。これは石森にも言えるけど石森も齋藤もメディア上では中々ピックアップされないけどいい奴なんですよね。それが伝わってくる自撮りTVは偉い。まあ面白い瞬間は1秒もないのですが。あとリタイアでV終わるなら2軒目全カットで良くない?

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志田愛佳

自由。仕事だけど仕事感のあまりないオフの志田の雰囲気が伝わってくる。アイドルアイドルしてる自分が苦手なみたいだけどやっぱり可愛いし、欅坂にはこの志田が必要なんですよね。

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土生瑞穂

また食レポかよ!!!!失礼、取り乱してしまいました。でも土生ちゃんは韓国ですからね、更に自分の自撮りVTRに自分で副音声でコメント入れてますからね、一味違うんですよ。顔と声は可愛いしプライベートの土生ちゃんのファッションも見れて色んな角度から土生瑞穂を楽しめる、おまけに「食べるー?」など"こちら"側への気配りも忘れない素晴らしい自撮りTVですね。土生supreme瑞穂、地上波ゴールデンでやりませんか?

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原田葵

エプロンを着るだけで若妻感が出るのは発明の類だと思うんですよね。本当にエプロンを考えてくれた人、エジソンライト兄弟のように歴史に名を残して然るべきでしょ。クソガキ感のあった葵ちゃんの少し大人びた姿に心の中の徳光和夫も涙ですよ。ただ長いし画が変わらないから1分ぐらいで飽きちゃうんですが。

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■尾関梨香

いや、葵ちゃんと画が一緒やけど??失礼、タイプAの後にそのままBを見た私がいけないんです。葵ちゃんとやってることは完全に同じなんだが尾崎のは「パンケーキアート」とすることで尾崎の絵心も同時に楽しめプラスαのフックを作ってるところが良いですね。最近尾崎がどんどん可愛くなっていておれの中の徳光和夫が(以下存在しない日本語)。

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■織田奈那

チャイナドレスを着るという行為はもう確信犯なわけですよ。その心意気、大義であった。微妙なボリュームで真面目でガチなところが織田奈那っぽいですね。そのままEテレでレギュラー番組やってくれ。

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佐藤詩織

レッスンスタジオで欅の曲に合わせて色んなタイプのダンスの振りをつけ踊る佐藤詩織さんの姿は些かシュールなんですがこれがアートなのでしょうか。いや、普通に見てて楽しいんですけどね。これまでの食レポやクッキングよりは実践的で佐藤詩織さんのダンススキルも再確認できる。やはり五人囃子に本質はあるんですよ。でもこういう時に本人のキャラクターが出てこないところが佐藤詩織さんの惜しいところな気がする。

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■長沢菜々香

温泉レポと言えばやはり入浴シーンが最大の見所ではありますよね。え?入浴シーンがない??正気か??失礼、取り乱しました。キャラが濃くて冷静に見れる機会は少ないけどなーこだいぶ可愛いですよね。手作り感が良い方に転がってるVTRで好感度8400増しです。ただたぬきの置物を見つけて「ねるを見つけました」と真顔でナチュラルにイジるなーこからはサイコを感じました。でも袴を着たなーこはとっても可愛かったです。けど袴を着たまま雪の降る中外で欅の曲踊り出すなーこはやっぱりサイコだなと思いました。おしまい。

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守屋茜

欅坂46、食い物くってばっかりやん!失礼、取り乱しました。他のメンバーは「食レポ」をしてるので映像中にコメントしてるのですが守屋は本当にただ食ってるだけで後日テロップでコメント加えてるところにサグを感じ…、失礼、完全オフの守屋茜を写してる感じがとても良いと思いました。うえむーの自撮りVには彼氏面できるのに守屋ではできないの、考えさせられる。

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■米谷奈々未

企画がしっかりしている。制服姿の米さんはかわいい。そして完成品のクオリティも高い。"制服と太陽"という名曲にフォーカスしたセンスも素晴らしい。てかこれ見ると米さんマジで可愛いなと思えてくる。一人だけ自撮りTVじゃなくて個人PVのような出来ですね。アカデミー賞受賞です。

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渡辺梨加

顔面が偉い。

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■小池美波

ビリビリグッズを検証する小池美波ちゃん、リアクション120点かわいさ12000点です。更にどんだけ良いリアクションしてもこういうのはツッコミとボケという形がいることで成立するもので1人でやるもんではないなと感じさせることで改めてバラエティというものへの哲学的な問いも投げかけている。深イイ。

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小林由依

顔面よし、声よし、企画よし。シンプルにニヤつきもといケヤつきが止まらない。常に期待を裏切らない小林由依横綱相撲に感服しました。5番目の服装の小林由依ちゃんが可愛すぎて死んじゃった。でも正直そこまでオシャry(何者かに後頭部を殴られ永眠)。

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菅井友香

「夕立も予測できない未来も 嫌いじゃない」に続き声に出して言いたい日本語ランキング第2位に君臨する「ゆっかー」こと菅井友香。1人ラーメンどころか激辛ラーメンを苦心しながらレポをしつつ完食し切ることで初めて成立する齋藤冬優花とただ「1人でラーメン食べに行く」だけで企画として成立する菅井友香のこの構図はこの世界の格差社会への風刺なんですよね。21世紀的価値観と資本主義の臨界点がトランプというモンスターを大統領にしてしまったように菅井友香もこのアイドルというシステムの格差が生んだ加害者であり被害者なのです(適当)。

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平手友梨奈

てちが元気にしているだけで世界に光が差す。てちが笑顔になるだけで人々の心に笑顔の花が咲く。おまけに映像の尺も短い。本当に齋◯冬◯花に謝ってほしい。まあ冗談は置いといてこうやって"アイドル"をやっててスーパーかわいい平手が一番良いと思うんですよね。変に気張って表現者とか言って曲の世界に閉じ込められるよりも笑顔のてちで他のアイドルが辿り着けなかった場所まで行ってほしい。2016年の欅坂46を超えてくれ、頼む。

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鈴本美愉

何度目のクッキングか。でも手際の良さが他のメンバーと一味違いますね。あと髪をガン染めしてるすずもんが料理上手で尽くすタイプというの、クるものが多い。まあこのリリース後けやかけで散々料理企画をやることになるのでこの映像の価値は下がってしまったのですが…。

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■長濱ねる

ナチュラルボーンカマトトたぬき。でも他のメンバーと比べてめちゃくちゃ沢山喋るしカメラワークも変えてくれるし長崎弁で彼氏面気分味あわせてくれるとかこんなに偉いアイドルを叩く人間の気が知れません。観覧車一周するだけなのに撮れ高半端ないしこれはアイドルとしての職能と言わざるを得ない。

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渡邉理佐

飾らない素の〇〇というと志田や守屋と一緒なのに何がこんなにも違うのだろうか。BGMとロケーション、そしてべりさの醸し出す圧倒的彼女感。同じコンセプトでも映像のちょっとした作り方でメンバーによって全く印象が変わるのがこの自撮りTVの面白い見方だがねるとの壮絶な殴り合いの果て渡邉理佐は文句なしのMVPです。マジで付き合ってほしい。いや、ほんとマジで付き合ってほしい。大事なことなので2回言いました。

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けやき坂46 1期生

漢字欅の自撮りTVとは違いひらがなけやきは一期生全員での出演。それぞれのメンバーの誕生日とともに誕生花と花言葉が紹介され、そのイメージにあった個人映像が流れる。加藤史帆の映像がメディア上のポワポワした本人のイメージとはガラリと違ってサバサバしたクールキャラだったのと齊藤京子が丸眼鏡の文学少女キャラでそれぞれのギャップがいい感じでしたね。花言葉を当てると本人のイメージ通りの人もいれば結構違うキャラに変わる人もいておもしろい。全体としては意味ありげなセリフと良い具合の映像でまとめた個人PVショートver.という感じですがみんな可愛くてとってもハッピーです。柿崎芽実ちゃんのジト目が優勝。

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けやき坂46 2期生

ひらがなけやき2期生はメンバー全員による自己紹介V。可愛い女の子たちがひたすらお互いを褒め合う素晴らしい映像です。今見返すと小坂菜緒ちゃんがこの半年で信じられない成長を遂げているのがわかり震える。こうして見るとひらがな2期生は乃木坂の3期生と殴り合って勝てるんじゃないかというぐらいビジュアルレベルが高い。個人的には松田好花ちゃんが特技としてギターを挙げていてエレキギターぶら下げてる姿が性癖に刺さる。まあ私は河田陽菜ちゃんの顔面が好き過ぎるのですが。

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そんな言葉 -ELLEGARDENがくれたもの-

13歳の時、家で流れていたスペースシャワーTVである15秒のCMを見た。ライブハウスと思しき場所で演奏するバンド。画面が曇りそうなほど充満する熱気。当時「インディーズ」という言葉も「パンク」という言葉も知らなかった自分にはその音楽は衝撃的で、「なんだこの音楽は!!!」と釘付けになった。心を鷲掴みにされ、体中を電流が走る。呆気にとられていたら、何の情報もわからないままCMは終わってしまった。「あの曲をもう一度聴きたい」。そこから3時間、再びそのCMを見るためにテレビの前に張り付いた。きた!!!今度は見逃さないように、画面を凝視する。CMの最後、なんとか目に入った「ジターバグ」という言葉とトーテムポールのような黒色のキャラのイメージを頭に焼き付け、すぐにインターネットで調べた。見つけた。

 

それがELLEGARDENとの出会いだった。 

 

その後すぐに隣駅にある地元のCDショップへ自転車を飛ばした。"ジターバグ"が入っているからと買った初めての彼らのCD『BRING YOUR BOARD!!』。帯をゴミだと思っていてすぐゴミ箱に捨てていたその頃の自分は、「英語の曲は何を言ってるかわからないから聴かない」と割と本気で決めつけていた。でもこのアルバムに入ってる曲はなんだか好きだ。ライナーノーツというものを読むのも初めて。アルバムを聴いて、ライナーノーツを読んで、歌詞を目で追う。「こんな世界があるんだ」。不思議な感覚だった。

 

そこから少しずつエルレにのめり込んでいった。スペシャを見て、雑誌を読んで、CDショップに行った。周りに彼らを知ってる人は誰もいなかったけれど、そのおかげでエルレは自分だけが知っている秘密の宝物のようだった。パソコンもほとんど触らなければ、今のようなSNSもない。誰とも共有できない。ただ自分の部屋で聴くだけのその音楽は、自分のためだけに鳴らされているように感じた。その歌は、自分の中にずっと眠っていて、自分自身さえ気づいていなかったことを教えてくれるようだった。そう思って聴いてるわけじゃない。でも歌われる全てが自分にとっての"答え"に思えた。

ステージの上の細美さんは、いつも世界で一番幸せそうな表情で歌っていて、その姿が眩しくて、どうしようもなくカッコよくて、憧れの人になった。

 

『Pepperoni Quattro』は地元のTSUTAYAに買いに行った。相変わらずまだ帯はゴミだと思っていてすぐに捨てた。けどブックレットに挟まれてたステッカーは、もったいなくて今も使えずにずっととってある。

 

『Missing』のリリース日、学校の行事で遊園地に来ていた。でも内心は早く家に帰ってCDを買いに行きたいとずっと思っていた。

"Missing"を聴かせて「良い曲やな」と言ってくれた同級生が、CDTVのチャートに『Missing』がランクインした次の日、「エルレ入ってたな!」と学校で声を掛けてくれた。自分は何もしてないけど、自分自身も認められたようで、なんだか誇らしかった。 

 

高校に入って友達ができるか不安だった。でも自分の一つ後ろの席の奴が『RIOT ON THE GRILL』を知っていて仲良くなった。

 

"Salamander"のMVを見て、細美さんが履いている靴が欲しいと、母親に教えてもらい初めてVANSのスニーカーを買った。格好からでもいい、少しでも近づきたかったんだと思う。今若い世代の子が好きなバンドマンの格好を真似てるのを見ると、その気持ちがよくわかる。

 

『ELEVEN FIRE CRACKERS』はクラスの1/3の人間に貸してくれと言われた。本屋で平積みにされたエルレが表紙のロッキンオンジャパンに女子高生が群がってるのを見て、「おれはもっと前から知ってたんだぞ!」と、今思えば青臭い気持ちを抱いていた。

 

17歳の時、初めてエルレのライブに行った。高校に入学して出会った一つ後ろの席のアイツと。ELEVEN FIRE CRACKERS TOURの、今はもうないZepp Osakaでの公演。ライブハウスという場所に行くのも初めてで、更に生で彼らを観れる興奮も相まって浮かれていた自分は「前の方空いてるじゃん!」と、空いてるスペースへとどんどん進んでいった。SEが鳴った瞬間、それが間違いだったと気づく。一気に前方へ密集するファン。人の上を人が転がり、流され、揉みくちゃにされ、フロアの人の海で溺れ死にそうになった。正直、最初の6曲ぐらいは息をするのに必死だったこと以外全く覚えていない。それでも、細美さんが「明日のことなんて忘れて派手にやっちまおうぜ!」と叫んだ時、思わず自分も拳を突き上げたくなるような衝動に駆られたこと。"Marie"を聴いて、CDで何度も聴いたはずのその曲が、初めてCDで聴いた時以上の感動とともに全身を駆け巡って鳥肌が立ったこと。今でも覚えている。

 

07-08ツアーにも運良く行けた。前回のツアーではやらなかった"Jamie"と"Lonsome"をやってくれたのが忘れられない。特に「大阪のイベンターの人が好きだと言ってくれたから」と演奏された大好きな"Lonsome"を生で聴けたことは密かな自慢になった。

 

2008年5月2日、ホームページでそれを知った。「活動休止」。でも不思議とそこまでショックを受けなかった。彼らがいなくても、彼らからもらったものはなくならない。この音楽がこれから先もずっと、自分の中に深く残り続けていくことがわかっていたからかもしれない。

 

活動休止前最後のツアー、チケットは取れなかった。その時は「自分よりエルレを好きな人が他に沢山いて、自分の好きな気持ちがまだ足りないからチケットが取れなかったんだ」と割と本気で考えていた。痩せ我慢のような強がりだったかもしれない。でも自分の取れなかったチケットで誰かが笑顔になってると思い込めば、少し救われた。

 

エルレが休止してから、それぞれのメンバーが新たに始めたバンドを聴いた。the HIATUSもNothing's Carved In StoneもMEANINGもScars BoroughもMONOEYESも。

 

特に細美さんのバンドはこの9年追い続けた。

 

the HIATUSの"Centipede"を聴いた時、「3人組を見失ってしまった」という歌詞に、その3人を思い浮かべた。

 

2014年のthe HIATUSの武道館公演の日、「エルレが止まったおかげでこいつら(the HIATUS)に出会えた。」と語る細美さんを見て、the HIATUSとして積み重ねてきたものを感じた。

 

MONOEYESが結成され、"My Instant Song"を聴いた。懐かしいような、そのピュアな音楽に、少しだけエルレの影を重ねた。

 

去年のMONOEYESのDim The Lights Tourで、"Remember Me"の一節を細美さんは「We are still the same.」と変えて歌った。

If you sail back to your teenage days
What do you miss
What did you hate
Remember we are still the same


10代の日々に船を出したら‬
何が一番懐かしい?‬
何が嫌いだった?‬
今も同じだってことを忘れないで

自分も、周りも、沢山のものが変わっていく中で、ずっと変わらないものもある。

 

エルレのことを忘れたことは一度もなかった。

 

9月7日。一年に一度、細美さんがエルレの活動休止についてのブログを更新する日。過去9度綴られたその言葉は、今は会えない遠く離れた場所にいる友達から届く手紙のようで、その度にポケットにしまわれた約束を思い出しながら、いつか訪れると信じるその日と、流れていった月日を想った。

 

9月9日。毎年" No.13"を聴いた。

I'm waiting here You might not be back
I don't think I'm irrational
I'm waiting here You might not be back
I'm still at No.13


僕はここで待っている
君は多分戻ってこない
別におかしくないだろ
僕はここで待っている
君は多分戻ってこない
僕はまだ13番地にいる

(No.13)

まるで自分たちの気持ちを代弁しているかのような詩。その日はいつも夏の匂いが残っていて、快晴じゃない日もあったけど、同じようにこの曲を聴いてその日を待っている人がいると思うと、心は晴れやかになった。

 

活動休止前の最後の新木場スタジオコーストでのライブで細美さんが言った「これが最後じゃないからね」。その言葉を信じて、10年間待った。時々、ライブが見たいなって寂しくなる時はあったけど、活動再開を疑ったことは一度もなかった。

 

この世界には叶わない願いもあれば、果たされない約束もある。でも同じように、叶う願いもあれば、果たされる約束もある。結局は自分が信じるか信じないか、それだけなんだと思う。

 

10年前に活動を休止したELLEGARDENというバンドの話は、自分にとってはいつだって未来の話だった。

 

2018年5月10日、ELLEGARDENは帰ってきた。

また一つ、信じるものを信じられる理由をもらった。

 

"人には誰にもその人だけに贈られたギフトがある"

去年、18年ぶりにニューアルバムを出したどこかの3人組が言っていた。

 

エルレと出会うまでの自分は、学校で言うとこの典型的な"いい子"で、自分の意見は主張せず、妥協して、目立たず、迷惑をかけないように、物分かりのいい子どもでいようとしていた。でも彼らの音楽に出会って教わった。もっと自分のことを好きになっていいということ。自分の信念を大切にすること。過ぎ去ったことは笑い話になる。失ったとしても、また拾い集めればいい。周りの人と違っていたって、それは君が間違っているということじゃない。雨の日には濡れて、晴れた日には乾いて、寒い日には震えているのなんて当たり前だろう。

 

エルレの曲は、別れの歌や自己嫌悪、ネガティブな歌詞が並ぶ事が多い。でも別れを歌うのは、その人が大切だったからだ。自分を卑下して傷つけるのは、本当は自分のことを好きになりたいからだ。この世界がクソだと嘆くのは、この世界の美しさを知っていて、誰よりもそれを望んでいるからだ。絶望を歌うことは、希望を描くことだ。誰に何を言われようと、バカみたいな綺麗事を信じて闘う姿に、何度も勇気をもらった。

 

エルレに出会っていなければ、今みたいな人間になっていない。

エルレに出会っていなければ、今みたいな人生を送っていない。

エルレに出会っていなければ、今まで出会った人たちのほとんどに出会っていない。

 

君の手に 上手く馴染むもの
君の目に綺麗に映るもの
それだけでいい 君の手が今も暖かく
君の目が今も綺麗なら
ただそれだけで 僕は笑う

いらないもの 重たいもの ここに置いて行こう
誰もが みな 過ぎ去るなか
君だけが足を止めた そういうことさ

(ロストワールド)

 

彼らを知らない人は世の中に沢山いるし、彼らの音楽を聴いても何がいいか全然わかんないって人も大勢いる。でも自分にとっては、ELLEGARDENというバンドに出会えたことが、このたった一度の人生に与えられたギフトなんだと思う。

 

自分はクソッタレのダメ人間。初めて彼らと出会った15年前から変わらず今も。でも、昔よりずっと自分のことを好きになれた。今がこれまでの人生で一番良い人間だとさえ思える。それでもまだ憧れた背中は遥か彼方。

いつだって君の声がこの暗闇を切り裂いてくれてる
いつかそんな言葉が僕のものになりますように
そうなりますように

(ジターバグ)

自分を救ってくれた言葉を、自分も同じように誰かに言える人間になりたい。なれるかはわからない。でもそうなりたいと、きっと死ぬまで、その背中を追い続けるんだろう。

 

10年越しに発表された3カ所のツアー。沢山の人が待っていた。きっとチケットは争奪戦。チケットが取れない人や、そもそもその日に行けない人もいるだろうし、もしくはもう二度と会えなくなってしまった人もいるかもしれない。それでも、この日をずーっと待ってた人みんなが笑顔になれたらいいと思う。昔からのファンも、休止してから知ったファンも、ダイブやモッシュが好きな人も、手拍子したい人も、サークルを作りたい人も、デカい声で歌うのが好きな人も、静かにじっと見るのが好きな人も、初めてライブハウスに来る人も。きっと色んな人がいる。でも根っこの部分、「エルレが好きだ」って気持ちはみんな同じはずで、だとしたら、諦めなければ、その場所に辿り着けるかもしれない。

 

「全員笑顔にすっかんな:-)」 

 

情熱がかき消されそうな時、現実に飲み込まれそうな時、いつだってその音楽が救ってくれた。

 

THE BOYS ARE BACK IN TOWN

今度は自分たちが、帰ってくる彼らを笑顔にしたい。

 

誰1人の笑顔を諦めることない

そんな言葉で。 

 


PV ELLEGARDEN ジターバグ(Live Ver)

 

P.S. チケットの転売の話を聞く。いろんな意見があって、何が正しくて何が間違っているのか、一概に正義や悪を決めつけられるようなことではないように思える。高額で転売されてるのを見ると確かに腹は立つけど「転売◯ね」ってヘイトを撒き散らしても世の中からそういう人間はいなくならないし、「転売しないで」って買っている側に考え方を押しつけても何十万出してでも行きたいっていう人の想いを自分のものさしで否定すんのかってなるし、その道の先には出口がない気がする。

そういうことよりもただ自分は、エルレがなぜチケット代をこれほど安くしているのか、そのために何をしているのか、それを知っている人間として転売はしたくない。自分はメンバーに会った時、胸を張って「大好きです。」と言いたい。そう言える自分でいたい。自分が転売をしようがしまいがそんなことは誰も気にしないかもしれない。でも一度でもしてしまったことは、誰の記憶に残っていなくても、なかったことにはならない。だから自分は転売はしない。それでいいと思う。

これが正しいか間違ってるかはわからない。誰かは嘲笑うかもしれないし、誰かは薄気味悪がるかもしれない。でも大事なことは"自分がどういう人間になりたいか"だ。カッコよくないからこそカッコつけて生きて、1ミリでも本当にカッコいい人間に近づきたい。それが誰かにとっては間違いでも、自分にとっては正しい選択かもしれない。

We never are the saints
But we don't wanna hide
There are many things that are out of our control
Just don't lose your smile
Though someone puts you down
'Cause that is what I love
Give them the middle finger
All we have to say is "We will never be like you"

 

僕らは全然清く正しくない
だからってコソコソしたくはないんだ
コントロール出来ないことなんて
山ほどあるよ
だけど笑顔だけはなくさないでくれ
たとえ誰かに罵られてもさ
僕はそういうとこが好きなんだ
そいつらに中指たてて
「あんたらみたいにはならないよ」
って言ってやろうぜ

(Perfect Days) 

 

「最後に笑うのは正直な奴だけだ。」

 

本当にそうかはわからない。でも自分はそうだと信じてる。

 

そういうことなんだと思う。

 

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'Cause I'm on the run - 2017.11.28 the HIATUS Bend the Lens Tour 2017

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▪️'Cause I'm on the run

the HIATUSの単独ツアー「Bend the Lens Tour 2017」、そのセミファイナルとなった新木場スタジオコースト2日目。今回のツアーはthe HIATUSとしては初めて作品のリリースなしで回るワンマンツアーとなり、セットリストは全くの未知。どんなライブになるのか予想もつかないまま、高鳴る鼓動と収まらぬ妄想を秘め会場へと向かう。

場内ではインダストリアルなダンスミュージックやオルタナティブな楽曲が流れる中、ふとJack's Mannequinの"Crashin'"が流れた。10年以上前に細美が雑誌で影響を受けたアルバムや最近聴いた作品を5枚挙げるコーナーの中に、WeezerThird Eye BlindとともにJack's Mannequinの1st Albumがあったのを今でも覚えている。初期のthe HIATUSにも通ずる流麗で美しいピアノのメロディーは水面を走る光のようで、その懐かしさとともに、今夜がいつものライブとは違うものになる予感を感じた。

開演時間の19時ちょうど、暗転。流れてきたのはJoey Beltramの"The Start It Up"。the HIATUSの入場のSEは過去二度変わっており今は三代目にあたるが、"The Start It Up"はthe HIATUSの結成当時から初期のライブを支えてきた最初のSE曲だ。不穏でトライバルなビートが会場を後戻りできぬカタルシスへと手招きする。期待は大気の中で熱を帯び、目に見えそうなほどに膨らんでいく。

オープニングナンバーは"堕天"。イントロが流れた瞬間、その意外な選曲に不意を突かれた。1st Album『Trash We'd Love』に収録されたこの曲は、2nd Album『ANOMALY』のリリース以降はほとんどライブでは披露されていない曲のはずだった。真っ赤に染まる照明の中、苦しみの中に光を見出すような、ボロボロの翼で羽ばたくような、陰鬱で退廃的な世界が描かれる。地の底から遠くの光へ手を伸ばす"堕天"でライブの幕は切って落とされた。続く序盤は"The Flare"、"Storm Racers"、"Monkeys"と、激情を叩きつけるようなダイナミクスを持った曲が並び、フロアはモッシュとダイブの嵐が巻き起こる。MONOEYESのライブが終始ピースフルな空気なのに対し、the HIATUSのライブには非常にヒリヒリとした緊張感と切迫感がある。四位一体となり突き進むMONOEYESとは対照的に、the HIATUSは卓越したスキルを持った5人の"個"が精神と肉体を削りながら激しくぶつかり合い、化学反応を巻き起こしながら見たことのない強烈なエネルギーを放出しているかのようだ。こちらも久々のプレイとなった"My Own Worst Enemy"では、細美の力強いボーカルは悲痛な響きを伴って、会場にこだまする。

こんばんは、the HIATUSです!

それまでのダークでナイーブ世界観から一転、キラキラと輝くピアノの旋律とともに"Clone"へ。それまでの鬱屈としていた暗闇を切り裂き、雲間から光が射していくような、瑞々しい救いの歌が鳴らされる。心を締め付けた日々も、困難に晒された夜も、いつだってそばにいた自分自身が、いつか君を救う。苦難の末に訪れた、ある素晴らしい一日

東京の音楽好きなやつらってスカしてるやつが多いイメージだけど、エイタスのライブに来るやつは全然違うな笑
知らない人からしたら何やってるかわからない時間があと2時間ぐらい続きますが、おれたちのことを好きなやつは心の底から楽しんでください。

そして細美はギターを置き、シンセとハンドマイクのゾーンへ。"Let Me Fall"、"Thirst"、"Unhurt"、"Bonfire"と、the HIATUSの歴史の中では新しい曲たちが並ぶ。マイク一つで自由に動き回る細美は身振り手振りを交え、客席を鼓舞していく。

オン ドラムス!柏倉隆史

"Thirst"では柏倉の独特のリズムから生み出される凄まじいドラムが、曲をよりスリルへと駆り立てていく。

オン ベース!ウエノコウジ!!

"Bonfire"では柏倉と伊澤のバチバチと火花散るようなピアノとドラムのせめぎ合いの最中、強烈な個性を支えるように豊潤なベースで支えるウエノの腕が光る。

8年って結構だよね。再来年で10周年か。なんかそういうのはただの数字で関係ねぇよって思ってたんだけど、この前ACIDMANのSAIに出て、ああいうのも良いなって思えた。(10周年の時は)なんかやろう。武道館はやっちゃったし、さいたまスーパーアリーナ?埋まるわけねぇだろ!でもなんかやろう、やったことのないこと。
こんな難解な音楽に8年も付き合ってくれてありがとう。でもわかり始めるとジワジワこない?堕天とか、最初聴いた時よくわかんねぇなって思うだろうけど。一度覚えると、もうそれでしかないというか。

このアルバムはおれたちの8年の歴史の中でも本当に大切な一枚で、『A World パンデモニウム』、言えてないね笑。今はおれがギター持ってるけど、レコードでは柏倉が弾いてます。
猟犬のように、水も電気もなくなって、かつて野生動物のいなかった都会が荒廃して、そこを野良犬が駆け回っているような、そんな景色を空から見ると、なんだかこういうのも悪くないんじゃねぇかって。そんな風に、いつかお前らが全ての拘束から解き放たれ、野生動物のように駆け回る姿をおれはステージから見てみたい。

アコースティックギターを抱えた細美が鳴らすのは"Deerhounds"。3rd Album『A World Of Pandemonium』はthe HIATUSの転機となった一枚だった。これまでの細美のネタを広げる作曲から、メンバー全員のセッションによる作曲へ。その結果the HIATUSの音楽は新鮮な光と水を吸ってどこまでも伸びてゆく緑のような、これまでにない有機性と音楽的広がりを得た。その解き放たれた姿は、大きな空の下を自由に駆け回る野生の姿そのものだ。"Bittersweet /Hatching Mayflies"では幽玄的なサウンドスケープがどこまでも広がっていき、"Horse Riding"では跳ねるような細美のギターと伊澤のピアノがマーチのように行進していく。そして沈んでゆく夕陽のように煌めく"Shimmer"と、『A World Of Pandemonium』の楽曲が惜しみなく披露されていく。

今回のツアーはリリースツアーじゃないから何やってもいいんでしょ?マニアックな曲もやっていいんでしょ?ってこのツアーでやってほしいとラジオにリクエストをもらった中で得票数第一位の曲をやります。得票数はなんと…20票!20票で1位になれる世界素晴らしい笑

小さい頃、もっと空が綺麗に見えてたあの時、夏の気配を感じて「これ夏だ!」ってワクワクするような。あの頃はこの先に冒険が待っていて、剣を手に取りドラゴンと闘うような日々が待っていると思っていたんだけど、待ってなかったね笑 この曲はあの頃の自分に歌ってほしいと思ってこのツアーを回ってるんだけど、あいつはもういなかった、記憶はあるんだけどね。
もちろんおれはこの世界も好きだよ。超ダメなやつとか見ると、人間っておもしれぇなって思う。でもあの頃、もっと夜空の星がよく見えていたあの頃の自分をなんとか呼べねぇかなって。
歳をとるとどんどん痛覚が麻痺していくのか、痛みをあまり感じなくなるんだけど、それでも時々ズキンって痛む時があって、子供の頃はその痛みがずっと続いていたんだけど。44歳のおれの中にも超ナイーブな面はあって、それはおれの本質で、皮を一つ一つ向いてくと、きっと(あの頃の自分と)繋がってるんだよ。だからおれはその繋がりを探しながらこの曲を歌うから、お前らも自分の中にあるあの頃の自分との繋がりを探しながら聴いてほしい。

そうして歌われたのは"Little Odyssey"。ピアノと歌だけの世界。息を飲むような静寂の中、悲しみとも慈しみとも取れる細美のボーカルは優しく、全てを包み込むように響き渡る。

オン ピアノ!伊澤一葉

伊澤のピアノも寂しさを埋め合うように、細美の歌に寄り添うように、奏でられていく。

"Sunset Off The Coastline"、"Something Ever After"と、ボーカリストとしての細美の歌が冴える楽曲が続いていく。細美のボーカルは曲ごとに表情を変え、瞼の裏に情景を呼び起こし、脳裏に浮かぶ歌の世界へと聴き手を引き込み、誘っていく。余韻は永遠に続くような気さえしてくる。

the HIATUSにおける細美は紛うことなき"ボーカリスト"だ。the HIATUSの成り立ち、凄腕のミュージシャンが集まった中で、細美は自分の役割をボーカリストとして位置付けた。ELLEGARDENの活動休止直前のインタビューで、細美は「声をもっと遠くへ飛ばす方法を掴めそうだと」、ボーカリストとしての進化の兆しを話していた。そしてその兆しは、他の4人のアンサンブルの中で、時にはギターも置き、ボーカリストとして歌と向き合い続けたことで、the HIATUSというバンドで完全に花開いた。 初期メンバーの堀江に「救いのある声」と評された歌声は、the HIATUSの音楽の持つ痛みと慈しみを、美しさと醜さを、光と影を体現している。

そしてライブはクライマックスへ。"Insomnia"では「Save me(助けて)」の大合唱が起きれば、"Lone Train Running"では今度は「Away now(遠くへ)」の大合唱が起こる。悲壮な"Insomnia"と始まりの"Lone Train Running"は、同じだけの絶望と希望を等しく歌っている。

オン ギター!マサ!

"Lone Train Running"のmasasucksのギターソロはどこまでもエモーショナルに疾走し、それは歌のメッセージを代弁する切実な決意のようだ。そして"紺碧の夜に"では祝福のサークルが巻き起こり、客席には笑顔が溢れる。嘆くような、混沌とした、陰のある曲の多いthe HIATUSのライブに訪れる幸福の瞬間。絶望があるから希望を感じられる。

本編ラストは"Sunburn"。楽しい時間はいつか終わる。その切なさは夏の陽炎のようにゆらゆらと揺れ、けれど思い出を心に残し、次の旅へまた走り出していく。

the HIATUSの音楽は暗い、嘆いてる。部屋で一人で嘆くような、話しかけんなゴルァっていうような曲が多い。でも人生いいこともあれば悪いこともあるじゃん。山あり谷ありで、山の時はハッピーな音楽を聴いてればいいけど、谷底でどん底で、息も吸えないって感じたその時は、おれたちのライブに来い。

ライブハウス好きだけど、来年はちょっとライブハウスを出ていこうかなと、いろんなところへお前らを連れていきたいと思います。

もう話すことなんもねぇわ。なぁマサ。

アンコール1曲目、masasucksが弾くギターに「それやっちゃう?いいよ」と細美。その様子を見たウエノはスタッフにベースの交換の合図を出し、セットチェンジを図る。おそらく予定ではなかったアンコール1曲目は"Silver Birch"。この曲はThe Afterglow Tourでもう一度蘇ったように思う。仲間の歌。ピュアなあの頃の自分は、今もここにいる。そしてオーラス"ベテルギウスの灯"へ。The Afterglow Tourでファンとメンバーから堀江に捧げられたこの曲は、the HIATUSの今も続く歩みを映しているようだった。

オン ボーカル!細美武士!!!

masasucksが仲間を誇るように高らかに叫ぶ。

動かない客先と鳴り止まないダブルアンコールの手拍子が鳴り響く中、約2時間の熱演は終了した。

8年間。気づけばそれなりの季節が過ぎ去っていた。『Trash We'd Love』はELLEGARDENとは違う曲作りの形から始まり、そして『ANOMALY』では苦悩した。しかし『A World Of Pandemonium』で、5人のセッションから生まれた曲たちはthe HIATUSに新たな可能性を与え、『The Afterglow Tour』ではオーケストラを交えた17人の音楽団として芽生えた種に水をやり、花を咲かせた。そして堀江とのしばしの別れ。『Keeper Of The Flame』では、全員のセッションとともにプログラミングを用いた細美と柏倉の作曲も加わり、そして長いツアーという旅を経て、5人は"バンド"となった。『Hands Of Gravity』ではMONOEYESとの両立によりバランスを取ることから解放され、細美と柏倉に伊澤も加えた3人のネタから生まれた曲たちは、5人の鉄壁の信頼関係が反映された素直で真っ直ぐな曲たちだった。

the HIATUSはその作品ごとに、制作スタイルが変わり、それに応じて音楽性が変わってきたバンドだ。当初細美は自分を貫くだけではない方法で最高の音楽を作ることを志向した。それはELLEGARDENの止まってしまった細美が出した、別の答えだった。しかしthe HIATUSを続ける中で、仲間を信頼し、仲間に信頼され、自分自身にもう一度還っていった。もう苦悶の表情で苦しそうに歌う細美はいない。例え音楽は嘆いていても、心は上を向いている。ステージの上にあるのは誇りと笑顔だ。このツアーはそんなthe HIATUSというバンドの8年の歩みを見せるようなものだった。全てのアルバムから満遍なく行われたセットリストは、違和感なく、むしろ完璧な流れでthe HIATUSというバンドの歴史を証明していた。

過ぎ去る日々のように
君は俺に信じさせたがる
過ぎ去る日々のように
許せばいいって君は言う
過ぎ去る日々のように
君は俺を君の世界に連れてってくれる
過ぎ去る日々のように
夜明けまでゾクゾクさせてくれ

だから何度も聞かないでくれ
だから何度もさ 何度も聞かないでくれ
俺は駆け抜けてるんだ
過ぎ去る日々のような速さで

the HIATUSは常に変化を続けてきた。しかし根底にあるものは変わらない。光があるところに影が生まれるように、影を描くことは光が在ることと同じだ。飽くなき音楽への探究心と、可能性への挑戦。新たに実った音楽の果実を仲間と分け合う日々が、この先にも待っている。来年も再来年もその先も、旅は続いていく。そして過ぎ去っていく日々が、降りしきる雪のように、心に積み重なって、また痕を残していく。こんな夜のように、いつか訪れるその日まで。

 

ただ駆け抜けてるんだ。

過ぎ去る日々のような速さで。

 

2017.11.28 the HIATUS Bend The Lens Tour 2017@新木場STUDIO COAST Day2

01.堕天
02.The Flare
03.Storm Racers
04.Monkeys
05.My Own Worst Enemy
06.Clone
07.Let Me Fall
08.Thirst
09.Unhurt
10.Bonfire
11.Deerhounds
12.Bittersweet /Hatching Mayflies
13.Horse Riding
14.Shimmer
15.Little Odyssey
16.Sunset Off The Coastline
17.Something Ever After
18.Insomnia
19.Lone Train Running
20.紺碧の夜に
21.Sunburn
en.

22.Silver Birch
23.ベテルギウスの灯

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The Flare / the HIATUS


ベテルギウスの灯 - the HIATUS


the HIATUS - Deerhounds [The Afterglow - A World Of Pandemonium]


the HIATUS - Thirst(Music Video)


the HIATUS - Clone(Music Video)

 

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はじまりか、 - 伊藤万理華の脳内博覧会 in 北野天満宮

(ネタバレを含んでいるので見に行く予定のある方は注意してください。)

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◾️はじまりか、

年内で乃木坂46からの卒業が決まっている伊藤万理華による初の個展、『伊藤万理華の脳内博覧会』。東京での会期を終え場所を京都に移し、現在は北野天満宮で開催中の「KYOTO NIPPON FESTIVAL」の一企画として出展されている。(11月17日からは福岡PARCOでも開催されている。)

自分は特別伊藤万理華推しというわけではなかったが、たまたま大阪に行く機会があり、卒業を控えた彼女の初の個展ということもあってせっかくならと足を伸ばすことにした。

北野天満宮へは京都駅からバスで30分ほど。平日でも京都市内は観光客で賑わっており、北野天満宮でも多くの観光客が降りていく。

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脳内博覧会の会場は北野天満宮内にある「もみじ苑」という園内庭園の中の施設を使っており、展示を見るためには必然的にもみじ苑の中に入場することになる。(もみじ苑の入園料もチケット代には含まれている。) 紅葉シーズンを迎えているのか、まだ一部緑が残っているものの、もみじ苑の中は黄色や赤に染まった多くのもみじで彩られていた。時刻は15時を回り、傾き始めた太陽は早くなった日の入りを知らせる。人は多いが、どこか静かで日常とは切り離された静謐で厳かな空間。移りゆくもみじに反射したやわらかい西日は、儚い時の流れと卒業が突きつける感傷を映すようで、その眩しさに目を細めた。

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会場は1Fが同時開催中の永島千裕による個展『神のまにまに』、B1が『伊藤万理華の脳内博覧会』の展示スペースとなっていた。地下への階段を下り、小さな部屋に入ると大きく3つのブロックに分かれた展示スペースが広がる。

1.写真展(伊藤万理華ソロ)

最初のブロックは伊藤万理華のソロ写真展とも言えるファッションシューティングのブロック。大判の写真が規則的に並ぶオーソドックスな展示だが、写真はカメラマンとヘアメイクを変え、大きく2つのコーナーに分かれており、その全ての写真のスタイリングは伊藤万理華本人により行われている。

1つ目のコーナーはカメラマンを間仲宇、ヘアメイクを宇藤梨紗が務めている。
メインビジュアルにもなっている紫のジャケットを着て、前髪を分けた伊藤の写真を筆頭に、スタイリングごとにヘアメイクも変えた"モデル"伊藤万理華の写真が並んでいる。今回の人選は「自身の私服をメインにしたファッション系の写真が撮りたい」という伊藤の希望から間仲氏に白羽の矢が立った。間仲氏曰く伊藤は「パッと写真の中に入ってくれるから撮りやすい。」とのことで、そこには写真ごとに纏う雰囲気を変える伊藤万理華がいた。モデルのような高身長なスタイルではないかもしれない。けれど誰よりもその服をモノにしているのは伊藤万理華だと言わんばかりの佇まいに自然と引き込まれる。

2つ目はカメラマン:前康輔とヘアメイク:吉田真佐美によるコーナー。こちらはスタジオではなく葉山や渋谷など野外で撮影が行われており、化粧も控えめかつ表情もナチュラルで、「もし伊藤万理華のソロ写真集が発売されたら」という妄想を掻き立てる。前氏曰く「(伊藤は)スッと景色に入って紛れ込むのが上手。それを追いかけてるだけでこっちが楽しくなる。」とのことで、写真もくるくると動く素の伊藤万理華を切り取っているように見られた。

また写真展ブロックのスピーカーからは、この展覧会のために収録されたラジオ番組「MdN Presents RADIO DE meets CREATORS 」が流れていた。様々なクリエイターに伊藤が会いに行くというMdNで連載中の同名の企画を、番外編ということでラジオ番組として収録。これまで伊藤に関わってきたカメラマン、スタイリスト、監督、振付師と、様々な人に伊藤が一対一でインタビューを行い、初めての出会いからお互いの印象、この展覧会に至るまで、伊藤万理華にまつわるクリエイティブを話してゆく。そこからはアイドルとスタッフではなく、表現者としてお互いに認め合うクリエイター同士の言葉があった。

2.写真展(犬会)、スケッチ、脳内ROOM

2つ目のブロックは犬会の写真展と脳内ROOMのスペース。犬会は舞台『すべての犬は天国に行く』に出演した通称“犬メン“のメンバーがお正月に集まりパーティーを開くという設定。メンバーは伊藤万理華生駒里奈井上小百合斉藤優里桜井玲香新内眞衣松村沙友理若月佑美。各メンバーのスタイリングにはテーマがあり(斉藤はギャル、伊藤はヒッピー等)、スタイリストの市野沢雄大氏がそのデコボコした個性を一つの家族として統一感を持たせコーディネイトしている。写ルンですで撮影された写真は独特の色合いを浮かべ、何よりこの撮影を「この一年で一番笑ったかも」と伊藤が話すように、気の置けない仲だからこそ出てくる表情や無防備なほどの笑顔からは、メンバー同士の信頼関係が目にみえるようだった。

蝶々と展覧会のビジュアルにもなっている鉱石と苔の本人の原画を挟み、脳内ROOMへ。乱雑に置かれたバッグやぬいぐるみ、多種多様な小物類も全て伊藤の私物であり、彼女の趣味嗜好をぶちまけたようなカオスな展示だ。更にその隣の壁には沢山の私服が所狭しと並んでおり、そこにはメインビジュアルで着用された紫のジャケットも飾られていた。どの服もただそこにあるだけでは何の変哲もない古着の一つだが、伊藤が身につけ、プロのカメラマンが撮影を行うとあれだけの存在感が出るのかと、プロのマジックを感じた瞬間でもあった。

3.ショートムービー

そして最後のブロックはショートムービー。そこでは『トイ』と京都で初公開となった新作『はじまりか、』の2つの作品と、過去の個人PVの上映が行われていた。

 

■『トイ』

監督:柳沢翔

深夜、うらぶれたガソリンスタンドに止まる一台の車。その中で揉み合う男女。助手席のドアから押し出されるように出てきたのは派手な服装とメイクに身を包んだ伊藤万理華。水溜りに身体を投げ出しボロボロになりながらも、空元気にも見える笑顔を運転席の男に投げかけると、化粧を直すために伊藤はトイレへと向かう。水で顔を洗い気を静める。しかしふと見上げたガラスに映った自分の顔に不安を覚え、何かに追い立てられるように何度も口紅を塗り直す。すると外でエンジン音が聞こえ出す。慌てて飛び出すも、そこにはアイスクリームでベタベタに汚れたバッグが捨てられ、車は伊藤をガソリンスタンドに置き去りにしたまま走り去って行った。肩を落とし身動き一つないまま途方にくれる伊藤。しかし次の瞬間、彼女は何かに目覚めたように突如闇夜の中でダンスを踊り始める。怒りも、悲しみも、憤りも、寂しさも、全てを放出し尽くすようなダンス。通りすがりの車を気にもせず車道へ飛び出し、ボンネットに乗り上げ、感情のままに、腕をなびかせ、身体を預け、ステップを踏む。街灯に照らされながら、闇夜に溶け込みながら。身体の中が空っぽになってしまうほどの、自身を放出する鬼気迫るダンス。気がつくと夜は明け、地平線の先には太陽が昇り始めていた。うらぶれたガソリンスタンドには、変わらず1人。捨てられた。何もない。けれど、解き放たれた。関係から、しがらみから、自分自身から。暗闇が晴れ、青みがかる少し前の、乳白色の美しき空がどこまでも続いていた。その限りない広さを前にした彼女は、自由だった。雲の先、永遠とも呼べる空を前に、彼女の瞳には涙が溢れていた。

 柳沢監督に「最後のショートムービーをダンスメインにしたのはなぜか?」と聞かれた伊藤は「ダンスで想いを伝えるっていうのをやってみたかった。」と答えた。アイドルには歌という手段もあるが、それとは違う形で、自身の感情を表現する方法として彼女が選んだのがダンスだった。

そしてそれに対し柳沢監督は非常にダークな内容で応えた。重い内容にしたのは、追い込んだ方が伊藤の感情をより引き出せるからだと。インスパイアされたのは『アナと雪の女王』。あの「Let It Go」も住み慣れた国を追われ、一人ぼっちになった時に歌われた曲だ。それはある意味では不幸なシーンとも呼べる。しかし失うことで得た自由がある。もう誰の目も気にしなくていい。私は私のままでいい。新しい一歩を踏み出す時、私は自由だ。

柳沢監督は伊藤万理華の『トイ』で、彼女の自由を謳い祈った。

 

■『はじまりか、』

監督:福島真希

15の時に乃木坂の オーディションを受けた
まさかの合格!?ハッピー!も束の間
選抜発表で名前は 呼ばれなかった
どうしたらいい?何が足りない?
焦りは空回り まわりまわりぐるぐる巡り
誰かが付けた順番に 泣いて眠れない夜もあった
周りを見ればみんなキラキラ 羨ましいないいないいな
でも違うんだ それはあの子だから出来ること
私にはできない ひとりひとりの眩しい輝き
ようやく認めた時に 何かが開けた!
 
自信なんて無い 不安定な歌声
何でアイドルに?アイドルになったのか?
ずっとずっと コンプレックスだった
でも「味、味」って あなたが言ってくれたから
あなたがあの日 言ってくれたから!
 
ファッションも趣味も全然 アイドルぽくなくて
こんな変な私だけど 見つけてくれてありがとう
どうして私を選んだの?
どこから巡って辿り着いたの?
どうしてそんなに優しく笑ってくれるの?
 
あの時あなたが手を 差し伸べてくれた
あなたの言葉にたくさん 支えられてきた
見ていてくれた
ブログ読んでくれた
コメントくれた
声援くれた
りっかタオル
緑と紫のサイリウム
ありがとうありがとう 全部全部ありがとう
会いに来て手を繋いでくれて ありがとう
 
ここじゃなきゃ出会えなかった 大好きな大好きな大好きなメンバー
みんなすごくない?最高じゃない?
私ここにいて いれて本当によかった
1,2,3,4,5,6年
私の誇り私の青春 一生の宝物
前から3列目のだいたい端っこ
真ん中にはなれなかったけど ここが私らしいかなって
目の前と左に広がる みんなを景色を輝きを
ファンのみんなの声を ずっとずっと忘れない
忘れないから!
 
苔とか石とか鉱物とか アイドルぽくなくて
こんな変な私だけど 見つけてくれてありがとう
どうして私を選んだの?
どこから巡って辿り着いたの?
どうしてそんなに優しく笑ってくれるの?
 
あの時あなたが手を 差し伸べてくれた
あなたの言葉にたくさん 支えられてきた
見ていてくれた
ブログ読んでくれた
コメントくれた
声援くれた
りっかコール
緑と紫のサイリウム
星みたいですごく綺麗だった
広い宇宙にあなたと私
ここで出会えた奇跡に ありがとう
 
もっと話したい まだまだ足りない
離れるのは寂しいけど 違う私も見てほしい
良かったらもし良かったら 一緒に来ませんか?
あなたの未来と 私の未来
どこかでまた交わることができたらいいな
新しい私 これからのタワシ、ってタワシ!?
 
進もう一歩一歩
迷いながらでもいいから
悩んだり森を迷ったり
定期とケーキを間違えたり(べちゃ)
シロクマになったり
アン・ドゥ・トロワ!!で髪を切ったり
でもすぐ伸びたり
たまに「まいっか」って言いながら
 
一歩一歩一歩 未来はたった一歩先
ありがとうありがとう あなたと会えてありがとう
一歩一歩一歩 未来はたった一歩先
ここからここから 私が始まる
一歩一歩一歩 未来はたった一歩先
ありがとうありがとう 全部全部ありがとう
一歩一歩一歩 未来はたった一歩先
ここからここから 私が始まる
ここからここからここから
「はじまりか、」

りっかの名付け親でもある福島真希監督による、乃木坂46伊藤万理華として最後の作品。最後は真希ちゃんじゃないとダメと、伊藤からの指名で制作された今作は乃木坂の街角を伊藤が歩き、歌い、踊る姿をワンカットによる長回しで撮影している。音楽は福島真希の夫でもあるOngakushitsuの福島節が担当。綺麗な音色とエモーションを重ねていくストリングスが琴線に触れていく。キュートな振り付けとともに、リズムに合わせ、街中を踊る伊藤は、ままごとの舞台「わたしの星」で用いられたようなラップ調の歌と不安定だが真摯な歌声で、卒業を迎えた今の心境とファンへの想いを歌う。『トイ』のダークで陰のある内容とは打って変わり、軽快なテンポでストレートにその想いの丈を解き放つ伊藤の姿は、清々しく澄み渡っている。

自信なんて無い 不安定な歌声
何でアイドルに?アイドルになったのか?
ずっとずっと コンプレックスだった
でも「味、味」って あなたが言ってくれたから
あなたがあの日 言ってくれたから!

身に纏っていたコートを脱ぎ、衣装へと姿を変える伊藤。そこには紛れもない"アイドル"伊藤万理華がいた。
映像の最後、タイトルコールで締めようとした伊藤の背後の暗幕が下がると、そこには緑と紫のペンライトを手にしたファンの姿が。伊藤へのサプライズ。驚きとそれ以上の喜びをたたえた満面の笑顔で、映像は終わる。

脳内博覧会を見ていて、伊藤万理華橋本奈々未と似てると思った。2人はともに2月20日生まれ。意志の強さと潔さ、そしてファンへの想い。

自分は橋本奈々未推しで、彼女の最後は掛け値なく素晴らしく、ファンとして望外の感動をもらい、生きてきて一番美しいものを見たとさえ思った。けれど、一番彼女の口から聞きたかった言葉は最後まで聞けなかった。もちろん本人の本心はわからないが、それでも、最後に聞きたかった言葉があった。

『はじまりか、』にはそれがある。自分の好きなアイドルが、いつかアイドルをやめるその時、もし叶うのなら言って欲しい言葉の全てがそこにはある。何百人何千人何万人いるかわからない乃木坂46のファン、そして伊藤万理華のファン。この歌はそんな「ファン」という括りではなく、紛れもなくたった1人の「あなた」に贈られたものだ。自分はその「あなた」ではないだろう。それでも、伊藤万理華の人柄とまっすぐな想いに、自然と涙が頬をつたっていた。

『はじまりか、』を見ていてふと橋本奈々未のことを思い出し、そして伊藤万理華推しの人たちは絶対に幸せだろうなと、違う形の答えに、ほんの少しだけ羨ましくなった。

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伊藤万理華の卒業ライブは乃木坂46初の東京ドームコンサートの2日目となった。ラストソングはともに年内で卒業する中元日芽香とのダブルセンターによる"きっかけ"。

中元日芽香は、オリエンタルラジオと共演していたラジオ番組『らじらー』で先日最後の活動を終えた。中元のために制作された"LAST NUMBER feat.中元日芽香"とともに、最後までアイドル中元日芽香としてその活動を全うした。

www.youtube.com (ファンの人による自作MV)

 

伊藤万理華乃木坂46としての最後の活動は12月23日の仙台の握手会を予定している。

卒業ソングがないことは不公平か、卒業ライブがないのは不運か、握手会で別れを告げられないのは不幸か、わからない。でも伊藤万理華中元日芽香も、それぞれの場所で、それぞれのやり方で、それぞれの最後を全うしている。他の誰にも真似できない愛され方で。正解はない。きっとアイドルは、アイドルを辞める時初めて、何を残したかがわかるんだろう。

「ありがとう」以上の別れの言葉はあるのだろうか。新しい場所へと旅立つ2人の残した同じ言葉は、形は違えど、必ず、「あなた」の心を掬っていく。それはどうしようもないほどハッピーエンドで、そしてどうしようもなく切ない。

 

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伊藤万理華の脳内博覧会の様子は一部ナタリーでも見れます

【イベントレポート】乃木坂46伊藤万理華、初の個展開催に「やっと自分の存在意義を皆さんに伝えられる」(写真12枚) - 音楽ナタリー

braineclips22.hatenablog.com

欅坂46「不協和音」個人PVレビュー

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◾️石森虹花『虹花と七つのいいところ』

 監督:中村智恵

石森自身に「自分の好きなところを七つ」探してもらうため、1日をかけ都内や故郷の仙台を巡りインタビューをしていく。"欅坂46について"という質問では自身の葛藤が吐露され、また故郷で話されるアイドルを目指したきっかけには、石森の原点が垣間見える。バラエティではおバカキャラで目立つことが多いけど、こうして話してるのを聞くと石森って本当良い子なんだなって思う。てかまず家族が大好きな時点で絶対良い子でしょ。ただ七つ紹介してなくない?"虹"に掛けて"七つ"にして石森がちゃんと七つ考えたのに実際は三つだけ話聞いて終わってない?七つの良いところよりインタビューの方がメインになってない?

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◾️上村莉菜『少女と怪物』

 監督:藤枝憲 / 須藤中也

1人妄想の世界に浸り寂しく過ごす少女の元に、ある日現れた怪物。2人で楽しい時間を過ごしたのも束の間、別れの時が来てしまい………、という大人になると見えなくなってしまうやーつのストーリー。洋館と上村のロリータ衣装のバランスがマッチしてて、これを着こなせるのは土生ちゃんか上村かって感じでかわいい。そしてそこからの大人になった(設定上)上村の衣装と化粧がまたギャップを生んでて更に可愛い。大人になっても忘れちゃいけない大切なもの、そう、これはもはやトイストーリーやね(違う)

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◾️小林由依『彼女の愛情 または彼女は如何にして愛することを諦めその感情と訣別したか』

監督:児玉隆

小林に与えられた3つのルール。そのルールを必ず守り、1人で舞台に立ち芝居をしなければならない。ストーリーはある男性に恋する少女の話。文学的表現が並ぶ長尺のセリフを情感込め、淀みなく演じる小林。時にはにかみ、驚き、慌て、そして最後には…。またラストのセリフは空欄となっており、その物語の最後のピースは小林自身が考え決める。約8分に及ぶ熱演。エンディングそのものは、無難と言えば無難だけど、歌にギターにダンス、おまけに演技までやってのける小林のオールマイティカードぶりが恐ろしい。ブログの枕詞もまだ隠れた才能の片鱗なんだろうか、可愛いだけで十二分なのにどんだけ。素直に凄い。

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◾️原田葵『植物少女』

監督:西堀真澄

「植物はその地に根を張ってしまうと、その場から動けなくなってしまう。彼女もまたそんな生活を送るが、しかしそのことを彼女は不幸には感じていない。」というこの世界とその世界のささやかな交流を描いているんだけど、そんなことよりドレスアップした原田葵ちゃんめちゃくちゃ可愛くない?花びらパクパク食べる原田葵ちゃんめちゃくちゃ可愛くない?育ち盛りなのかな。

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◾️長濱ねる『Lightning Diary』

監督:上田真紀子 / 石川夕紀

なんだこのあざといたぬきは馬鹿野郎。失礼、取り乱してしまいました。ねるが未来の自分へ向けた日記をモノローグ的に語る映像なんだけどとにかくかわいい。そしてあざとい。あざといが果てしなくかわいい。「分かっててやってるんでしょ?」って聞いたら『そんなことないです』って絶対言い返してくるんだろうな。ただシャッタースピードを遅くすることで光の残像を残して文字を書く、所謂「花火文字」は視覚的にはポップなんだけどなんでこれになったんだろうか。可愛くねるを撮るためのふりかけ程度の味付けにとどまってる気が。まあねるがかわいいからなんでも良いか。

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◾️柿崎芽実佐々木美玲『Magic Girl』

監督:加藤マニ

SISTER JETのケンスケ アオキ氏によるオリジナル曲「Magic Girl」のリズムが最高に心地いい。ボーカルを取る柿崎芽実佐々木美玲の歌声は少し不安定だけれど、その不安定さはあどけなさや幼さを醸していて、"魔法を使う"という絵空事のようなファンタジーさと合っていて良い方に作用してる。魔法が使えるのにクロスワードパズルは自力で埋めていく2人の姿にこの物語の本質が隠されている、かどうかは全くわからない。

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◾️高瀬愛奈東村芽依『上京けやきストーリー』

監督:杉山弘樹

関西出身の2人による東京タワーを目指す都内旅、と見せかけたらそうじゃないんかい!というオチ付き。2人とも話してるとナチュラルに関西弁が出る感じがいい。写ルンですで撮った写真のフィルムの具合が超イマドキの子っぽい。映像も少しボヤけたようなフィルターをかけていて全体的に90'sの感じを出してる。東村芽依ちゃんのスカートの丈がちょっとエッチなのが気にな)ry

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◼️今泉佑唯今泉佑唯のひとり童話』

監督:加藤慶吾 / 小向英孝

前回は天使、今回はお姫様。今泉が有名な童話の物語を天真爛漫かつちょっぴりおバカに書き換えていく。前回はあざとさに自覚的な役を演じていたが、今回はあざとさはなりを潜めていて無邪気な面が前面に出ている。物語のある場面で予測できない未来を選ぶその瞬間、それは今泉佑唯という"キャクター"を超えて今泉佑唯という"人間"にオーバーラップする。夕立も予測できない未来も、嫌いじゃない。

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◼️尾関梨香『タイムスリップドロップ』

監督:田村啓介

高校の映画部を舞台にしたこれは『桐島、部活やめるってよ』か『幕が上がる』かってぐらいの青春ドラマ。尾関もイメージに似つかわしくないほどの正統派女子高生を演じている。ただこうやって普通の女子高生やらせると尾関超かわいい。ポニーテール尾関の正統派美少女感とベタな甘酸っぱいストーリーに胸キュン必須。途中で流れる音楽はあまり統一感なくて唐突な印象を受けるけど、設定もおもしろいし総じてだいぶ好き。

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◼️齋藤冬優花『続 NIGHT RACER FUYUKA』

監督:曽根隼人

いや、まだこれやる?あと途中の「取れない」のくだり結局手伸ばして届くならいらなくないですか?セリフにメタ視点が加わったことが違いだけど、なんでこれもっかいやったの?が正直な感想。

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◼️守屋茜『パーフェクト寝起きドッキリ』

監督:森田亮

前作『二人セゾン』の鈴本美愉の個人PV『鈴本ミユの秘密の告白』を担当した森田亮による作品。今作も守屋茜に早口を喋りに喋らせる。ただ鈴本のと比較すると今作はキャラを守屋のイメージ(本人が言いそう)に寄せた結果か、シチュエーションも実際のアイドル的になり、ダレはしないけど途中で飽きてしまう…。全く言わなそうなことをマシンガンのように言う方が面白い気が。絵的には終始かわいい。

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◼️渡辺梨花『ベリカ2号機』

監督:谷健二・脚本:高木俊貴

渡辺梨花がアンドロイドって設定はハマっている。それは表情の変化や感情の起伏が見えづらいからかもしれない。そんな渡辺が普段は見せない、最後不完全なアイドルだからこその自分の覚悟を叫ぶ姿はじんわりクる。エンドロールのNGシーンで渡辺梨花"らしさ"に戻ってくるのも良い。ただなぜもう一人の自分に会う時は大体屋上なのか問題。

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◾️齊藤京子高本彩花『アフレコ職人ず 齊藤&高本』

監督:タナカシンゴ

ラーメン部、腕相撲部、怪談部。3つの部活動を2人が演じるショートストーリー3本立て。と思いきや通常の撮影分とは別に全編2人がセリフから効果音までアフレコしたヴァージョン違いを加えた全6本のショートムービー集。「てくてく」や「とことこ」と言った効果音をつけたくなるような2人のチープでゆるい演技がまあかわいい。白衣と黒縁メガネ最高。ツインテール最高。靴箱から顔を覗かせる齊藤京子のかわいさは異常。ただ「男は星の数ほどいる」のきょんこ、ブルゾンちえみ…?

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◾️小池美波『誕生日の女』

監督:大畑貴耶

まず喋り声が本当に可愛いですよね。どんなありきたりなモノローグも小池美波の声で聞くと耳が溶ける。最後漫才的掛け合いで関西弁になるのもGOOD。ストーリーは特にこれと言って言及することはないんですが。

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◾️佐藤詩織『おねぇちゃんのプレゼント』

監督:大金康平

詩織お姉ちゃん…!失礼、取り乱してしまいました。子どもに絵本の読み聞かせをしていたら話が途中で切れてしまっていたため、自ら物語を描き足す詩織おねえちゃんのほっこり物語。赤のベレー帽とコートに身を包んだ姿が破茶滅茶に秋の装いで素晴らしい。佐藤詩織さんの愛らしい動物のイラストもかわいくて美術センスとおねえちゃんスキルが高次元で融合した佳作(適当)。ただ動物の鳴き声たまにエキセントリック。

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◾️志田愛佳『たった一日の志田愛佳

監督:月田茂

はいはい優勝優勝。志田の自撮りムービーから始まった瞬間頭が3mぐらい後方に吹き飛んだ。内容は誕生日の日にカメラで街を撮影して回る志田の姿と写真、志田の自撮りによる語り映像で構成。ちょいちょい「にゃん」とか「にゃー」とか脈絡なく猫言葉をブッ込んでくるの意味不明とか、トドメの太陽コンピューターによるオリジナルソング「猫時計」(振りもかわいいし良い曲)もなんで猫?となっていたがオチでタイトルの意味も含めて伏線回収。志田がやらなそうな(嫌がりそうな)「甘いかわいさ」を引き出した設定が素晴らしい。「ねる超え」と言っても過言ではない志田の可愛さがフルスロットル。志田には絶対「超恥ずかしい」とか「なんでこんなのやらないといけないの」とかぶつくさ言ってて欲しい。

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◾️土生瑞穂QUEEN OF COMMERCIAL FILMS』

監督:松田広輝

土生が架空の企業CMのモデルを務める今作。様々な商品に合わせてスタイルを変える土生ちゃんだが、一貫してシンプルにずっと可愛い。土生ちゃんは身長高くてスタイル良いから普通にモデルとか映えそう。コンタクトのCMで全身黒のシックな装いの土生ちゃんとか超カッコいい。東京デザインウィークでこういうのありそう(適当)。

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◾️渡邉理佐『あの日の忘れ物』

監督:脇坂侑希

引っ込み思案でちょっとイケてないタイプの女の子を演じる渡邉理佐って珍しい。そんな女の子が50年後の世界からやってきた未来の自分に運命の男性に出会うと告げられる。その後の眼鏡を外して髪をほどき、イメージチェンジを果たす瞬間を収めた28秒間にこの個人PVの全てが詰まっていると言っても過言ではない。べりさってこんなに可愛いんですね。可愛いとは思ってたけどその想像の630倍上をいく渡邉理佐が観れる。最高です。

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◾️潮紗理菜・加藤史帆・佐々木久美『夜は目映し踊れよ乙女』

監督:森岡千織

ドレスアップした3人が街角を闊歩する姿を捉えているんだが、可愛いは可愛いけどセリフもないし、なんかこう、もう一声欲しい。まあ3人いると難しいのかもだけど…。あと俗に言う「女子会っぽい女子会」を加藤史帆と佐々木久美がやるのはいいけど、潮ちゃんがやってるのはなんか嫌だっていうこの感じわかります??宇佐美宏さんの音楽は好き。

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■織田奈那『コールミー』

監督:松本壮史

先生への淡い恋心を胸に抱く女子高生織田奈那。この時点で良いですよね。織田奈那の歌うオリジナル曲「コールミー」は作曲を先生役も演じているEnjoy Music Clubの江本祐介、作詞を監督の松本壮史、振り付けをロロの島田桃子が手掛けている。芝居から歌への入り方が舞台的。ラスト「あと◯秒」を繰り返してしまう織田奈那がいじらしくてかわいい。青春やね。

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菅井友香『未来のわたしへ』

監督:柴田啓佑

ゆっかーお姉ちゃんやん。すみません、あたりまえ体操くらい当たり前のことを言ってしまいました。架空の映画の撮影を通して、菅井の見ている10年後の未来の菅井の姿を炙り出すフェイクドキュメンタリー。撮影の合間の菅井の姿はほっこりするし可愛いけど、正直わかりにくい。超能力研究部の3人かよ。 

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◾️鈴本美愉『冥土のみやげ』

監督:立岡未来

亡くなったおばあちゃんに会いたいと願っていたらある日から成仏できない幽霊が見えるようになってしまった少女の話。鈴本が演じるのは幽霊とおばあちゃん想いの役なんだがこういう裏表のなさそうな健気な役がすずもんには不思議とよく合う。モノローグの話し声も無垢に響く。そして服はダサくてもすごい可愛い。鈴本美愉、地力が強い。

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◾️長沢菜々香『しりとりっぷ』

監督:田村啓介、企画・作詞:本山香菜子

しりとりの果てに"ダンシングだっしー"という正体不明の生物を産み出した女子高生長沢がしりとりをしながら校内を旅する今作。長沢のしりとりしながら言葉を繋いでいく脱力系のラップと、小道具を使いながらコロコロと表情を変える抜群のチャーミングがもたらす摩訶不思議な世界を長回しで収めている。なーこの不思議キャラを全開にしつつ大正解な可愛さでまとめた良作。めちゃくちゃ好き。ただ持ってる筆記用具の癖が強い。

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◾️平手友梨奈『>>> swIming/girrrrrl << <』

監督:大久保拓朗

平手のビデオはいつも肩に力が入り過ぎなのでは?もといお金を掛けて大人が本気出しすぎなのでは?まず他のメンバーと違ってコンセプト抜きにスケールの大きさと映像美だけでブン殴れる強さ。そして設定も物語ではなく世界観を重視し、衣装から音楽まで手の込んだ作りよう。当の平手もカメラを通せば意志の強い眼差しと年相応の屈託のない笑顔のコントラストがどこまでも眩しい。夢を夢見る少女はやがて目を覚まし、覚醒する。こんなに絵になる女の子はそうそういない。本当に引き込まれる。そりゃ大人がマジになる気持ちもわかる、が、一回『NIGHT RACER YURINA』やってみよ?

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◾️米谷奈々未『三角関係関数』

監督:田平衛史

前回が文学少女なら今回は理系女子。米谷の勤勉な秀才っぷりを活かした数式物語は米谷ならでは。米さんの舌足らずなナレーションは可愛いしやりたいことはわかるけど、ただすまん、計算式のシーンが長くて途中で飽きてしまった…。

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◾️井口眞緒影山優佳『ドーナツの変』

監督:こだかさり

影山優佳ちゃんのスタイルの良さが全世界にバレてしまう!!!!ドーナツのためにパン食い競争をする井口と影山、ドーナツのために「炙りカルビ」を連呼する井口と影山、ドーナツのために)ry。井口のポンコツおバカキャラ影山優佳ちゃんの常識人キャラのギャップでほのぼのと進行する映像は2人のナチュラルな可愛さを映していてニコニコオタクスマイル全開になってしまった。いや、こういうので良いんですよ僕は。あと影山優佳ちゃんのPKクソ痺れる。

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